「平清盛」 雑感
久しぶりのエントリーとなってしまった。
今月に入ってから、音楽甲子園のことなんかもあって、ちょっと頭がそちらの方に傾いてしまっていたからだが、今日あたりから、また徐々に復活させていきたいと思っている。
そういえば、ここ数回のNHK大河ドラマ「平清盛」はちょっと辛い。視聴率が徐々に落ちているという話は聞いているが、むべなるかなという感じである。
特に今日の「平清盛」は、登場人物達の心の動きにどうも、感情移入できない。
例えば、得子(松雪泰子)が璋子(檀れい)に対して、激しい攻撃心を抱くという心の動きが唐突なのである。史実はともかくとして、物語の筋によれば、もともと、得子は璋子の口ぞえで鳥羽上皇の側室となった女性である。
しかも、前妻の璋子には上皇の心は無い。ということならば、むしろ、後妻打ち的嫉妬の感情を持つのが璋子とした方がより判りやすいのではないだろうか?
確かに、璋子は現代で言えば、KYなところがあって、鳥羽上皇の悩み(崇徳天皇が自分の子供ではないこと)を全く理解していないようにも思える。それゆえに、璋子が得子に対して攻撃的になるという演出はしにくいということはわからないでもない。
しかし、それならば、無理矢理に対決させる必要もないように思えるのである。それじゃあ、ドロドロマニアにはつまらないからということなのだろうか。
また、本日、初めて登場した明子(加藤あい)の清盛に対する感情もよくわからない。
清盛を一目見たときから、ほのかな想いを抱くが、身分(官位)が違うので気後れして求婚を断るというような単純な話にすればいいものを、父親・高階基章(平田満)が結婚話を強引に進める事に対して躊躇する、あるいは「自分は自分の幸せを見つけたい」などという極めて現代的な価値観を持ち込むもんだから、それまでの歌のやり取りでは断り続けるのだが、目の前で求婚されると、突然、OKしてしまうという展開に、おそらく多くの視聴者は(?)を抱かざるを得なかったのではないだろうか。
さらに、その他、崇徳天皇が登場するからと言って、百人一首の「瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)のわれても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ」という歌を吟じさせるとか、時子(深田恭子)に源氏物語の「若紫」の一節を復唱させるなど、変に教養主義的な演出は、どちらかといえば、わざとらしく退屈で、それほど効果を上げているようにも思えなかった。
おまけに、天皇が御簾の中からとはいえ吟じた歌を、武士である佐藤康清(藤木直人)が一対一で応対し、目の前で批評するとか...どうなんだろうか?
ただ、その中でも、忠盛(中井喜一)が清盛と明子の結婚を許した心根が、自分が果たせなかった好きな女性(清盛の実母・舞子(吹石一恵))との結婚を、清盛にはさせてあげたかったからという人間的な理由であったということをほのめかすように、舞子がかつて歌っていた「遊びをせんとや生まれけん」という今様を口ずさみ、それを横から盗み見た正妻の宗子(和久井映見)が、微妙に嫉妬するというようなシーンには趣きを感じるのも確かである。
この、清盛、忠盛、宗子この三人の関係は、演技も安定していて面白いっす!!
ようするに、現時点では、いいシーンと悪いシーン、自然なシーンとわざとらしいシーンの落差がありすぎるのと、演技の深度が俳優によって異なることによって生じたアンバランスが目立つというような欠点はあるものの、まぁ、それらをひっくるめて、「チャレンジングだねぇ」と言ってしまえる範囲には収まっているかなぁという感じではある。
ただ、基本的には頑張って欲しいという気持ちはかわらない。
まさむね
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