「二人」aiko、その視線のリアリティ
aikoが描く歌詞の世界には、少女だけが持っている、あるときは醒めた、そしてある時はシュールな、個性的な視線がある。
aikoの出世作「花火」では、いきなり宇宙から花火を上から見下ろすというインパクトの強い視線を披露した。次作「カブトムシ」での視線はすでに遠い未来。彼氏も既に死んで、自分もおばあさんになっている。
また、「桜の時」では自分の人生を距離を置いて見る冷静な視線がある。その姿は逆らいがたい運命に身をまかせた感じだ。
さらに、「花風」では、「桜の時」の時間軸をさらに進めて、その視線は転生後にまで届いている。
そして最新作「二人」では、彼氏との微妙な距離を感じさせる視線が、冷たくもかわいい。
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして... 「花火」
あなたが死んでしまって あたしもどんどん年老いて 想像つかないくらいよ... 「カブトムシ」
ゆっくりゆっくり時間を超えてまた違う幸せなキスをするのがあなたであるように... 「桜の時」
生まれ変わってもあなたを見つける 雨がやんで晴れる様に... 「花風」
一緒に撮った写真の中に夢見る二人は写っていたのね 後ろに立ってる観覧車に本当は乗りたかった... 「二人」
これらの視線はそれぞれに、妙なリアリティがあるが、これこそ、そaikoのオリジナリティなんだと思う。
まさむね
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