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2008年9月 1日 (月)

内柴正人が見せた武士道精神

今回の五輪の柔道は、前回に比べるとメダルが取れなかった。

その理由として、国際化した柔道が、一本を取る柔道から、ポイントを稼ぐJUDOに変ったからという説明がなされていた。

今後、日本柔道界は、心中覚悟で美学を貫くのか、時代の流れに対応して勝利を目指すのか。興味深いところだ。



さて、今回の五輪で最も印象的だったのが、66kg級で金メダルを奪取した内柴選手が決勝戦で、縦四方固めでフランスのダルベレ選手を破った瞬間だ。



彼は、喜びを表現する前に、相手の怪我を気遣い、そして相手の心情を忖度して、畳上ではガッツポーズをしなかった。

テレビの報道では、畳から降りた後のガッツポーズと、その後の「ひかる ひかる」という息子への叫びが何度も流されたが、僕的には、この畳上での立ち振る舞いの方が印象に残っている。



これは、まさに、「惻隠の情」という武士道精神が、国際舞台で表現された瞬間だったのではないか。



新渡戸稲造は「武士道」の中で「惻隠の情」というものを最高の美徳としているが、惻隠の情とは、簡単に言えば敗者への思いやりのことだ。

大相撲でも勝った後に土俵上では喜びを表さないが、それも同じ思想から来ている。



恐らく、起源は、敗者からの怨念を受けないための所作なのであろう。

日本人の心の中に潜む宗教観がこんなところにも現れているのだ。



まさむね

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