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2009年2月 6日 (金)

孤独死は本当に悲惨?-水曜ノンフィクションを見て-

今週の水曜日の「水曜ノンフィクション」で孤独死がテーマになっていた。



都会の団地で一人暮らしのお年寄りが亡くなる。

一人暮らしだから、すぐには分からなくて、ひどい場合だと数年位経ってから白骨死体になって発見されるという。



番組では、残された遺品を整理する専門業者を密着取材。

さらに、常盤台団地の、一人暮らしの老人を対象とした「気兼ねなくコミュニケーションできるサロン」、すなわち孤独死予防センターの活動も紹介していた。



孤独死する老人は悲惨だから、地域の人々が新たなコミュニティを作らなければならないのでは...という結論。



でも、実のところ、僕には違和感を禁じえなかった。



おそらく、そういったボランティアをされている方々は全くの善意の人々なんだろう。

その活動というのが、一人暮らしの老人のところに、突然「ピンポーン♪」って押しかけて、「最近どうですか」とか話かけるのだ。



いきなり来られて、嬉しい人もいるかもしれないが、自分だったらどうだろうかと考えてしまった。

とりあえず、作り笑いをして、「大丈夫です。ありがとうございます。」と言って、その場を取繕うに違いない。

それは、僕がまだ「孤独」ではないからそう思うのだろうか。



さらに、そういったボランティア達は、一人暮らしの老人の電気メーターの回り具合や、洗濯物、郵便物までチャックして下さるそうだ。

なんて、ありがたい事を(笑)。

    ◆

これは僕の想像だけど、孤独死する人って、多くは突然死だ。

寝たきりで一瞬でも治療を怠ったら死んでしまうような人は、介護スタッフが巡回しているだろうし、それどころか入院している。

とりあえず、一人暮らしの老人っていうのは、健康上、そこまでの状態ではないんだと思う。

それが風呂とかに入っていて、突然、脳梗塞とかで亡くなってしまうのである。

そして、誰にも気づかれず...というパターンが多いのだと思う。



でも、ちょっと待って。

都会の団地の孤独死というものが、本当に一番、悲惨な死に方なのだろうか。

    ◆

思えば、昔から、日本には「ぽっくり寺信仰」というのがあって、突然死への切なる願いがあった。

例えば、八王子の龍泉寺にはぽっくり観音というのがあるらしい。



この観音様に祈願すると、下の世話にならずに、寝込むことなく、寿命の尽きる時まで健やかに暮らすことができると言い伝えられています。



ようするに、これは、みんなに迷惑をかけながら、毎日痛い思いをしながら、病床で寝たきりになるよりも、ぽっくり死なせてほしいという信仰。

僕は、それは、極めてまっとうな信仰だと思う。



勿論、孤独死でぽっくり死なれても残された団地の人々は嫌な思いをするだろうけど、それは仕方ないと諦めるしかない。

ちょっと言い過ぎかもしれないけど、極論すれば、死んだ者勝ち。



それよりも、20世紀末から3万人に増えたまま一向に減らない自殺。

その中でも、女性の自殺のほとんどが病苦によるらしい。

ずっと前に、自殺率が高いどこか田舎のある地方での老婆の病気>欝気味>自殺の流れに関するドキュメンタリがあったんだけど、そんな老婆の多くは、家族と同居している老婆だった(ように記憶している)。



ここからは、あくまでも想像上の話なんだけど、昔ながらの家族意識が強い地域で、家族の中でなんとなく疎外感を感じてるんだけど、愚痴も言えなくて、自分の中にいろんなものを抱え込んでしまった老人が、病気になって、さらに落ち込んで、それでも、お金が無くて別居したいとも言い出せなくって、そして追い詰められて自殺しちゃう。

でも、世間体があるから、自殺ってことじゃなくて病死ということで近所に伝えて処理されちゃう。

そして、残った家族はなんとなく、ホッとする。



こういう死の方がよっぽど、孤独だと思うのは僕だけでしょうか。



逆に長年一人暮らしの老人の方が、孤独に慣れていて、自分自身の趣味を持ってさ、今更、みんなでコミュニティでフラダンスなんて勘弁してほしいって思ってるんじゃないか。

ましてや、毎日、郵便物なんて覗かれたくないってね。

勿論、これはあくまでも僕の想像だけどね。

    ◆

孤独死というドキュメンタリを作るのは結構だ。

でも、都会>団地>一人暮らし>突然死>悲惨という紋切り型の不幸をなぞるだけじゃ本当の事は見えてこない時代なんじゃないかな。

視聴率を気にする以前の問題である。



まさむね

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