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2009年2月10日 (火)

月9ドラマ「ヴォイス」における推理と青春の緊張関係

フジテレビの月9ドラマ「ヴォイス~命なき者の声~」を続けてみている。



毎回、番組中にその展開を推理しながら見ているのだが、なかなか当たらない。

前回の第5話「見えないスクープ写真」では、エコノミークラス症候群で亡くなったあるゴシップ・カメラマンに残された"意味不明な写真(餃子や麺液等)"の意味が、謎を解く鍵だった。

僕は、彼が(離婚により離れ離れになってしまった)子供のためにゴシップカメラマンという、いわゆる危ない仕事から、より堅い広告写真への道に進むために、就職用のポートフォリオ用の写真を撮っていたのではないかと思っていたが、全く違った。

実は、彼は子供との間で「写メしりとり」をしていたのだった。

そのために、精魂込めて仕事用のアナログカメラで本気でそれらの写真を撮っていたのだ。



来週こそは、当てられるよう、頑張ろうと思う。

    ◆

さて、上記のような推理物としてのドラマの楽しさとは別に、このドラマは青春群像ドラマとしての一面もある。



彼らは、医大の法医学研究所の5人の研修生である。ざっと紹介すると...



主役の加地大己(瑛太)は、抜群の勘の良さと高く秀でた観察力・観察眼の持ち主。変人。

大己の親友の石末亮介(生田斗真)は、大病院の院長を継ぐという父親の敷いたレールに疑問を持ち、法医学研究室に入った。

久保秋佳奈子(石原さとみ)は、小さい頃に母親を亡くし、その死を疑問視するところから、法医学者を目指す。成績優秀。

桐畑哲平(遠藤雄弥)は、いわゆる海外ドラマの刑事物の影響で法医学を志す。オタク系でデータ重視型。

羽井彰(佐藤智仁)は、元ヤンから苦学して法医学者を目指す。乱暴なところがあるが料理が上手く、実はいい奴。



五回の放送を見て、大体のキャラクタはつかめてきたところだが、どうしても一つ気になる点がある。

    ◆

それは、青春ドラマの主役の典型キャラと、推理ドラマの主役の典型キャラが異なる事から来る問題だ。

一般的には、普通の青春ドラマの主人公は、視聴者に感情移入させるために普通の性格の場合が多い。

あるいは、何か内面に苦悩を抱えているケースも多々ある。

しかし、逆に、推理物では、変人が主人公となるのがオーソドックスだったりする。(例えば、古畑任三郎、キイナ、「ケイゾク」の柴田純等)



そのために「ヴォイス」を青春ドラマとして見ようとすると、微妙な違和感があるのだ。

主人公の大己(瑛太)は「過去」も「家庭」も感じさせない。

いわば、法医学者になる星のもとに生れてきたのである。

また、彼には、ほとんど日常的な悩みが無い。

彼を悩ますのは、着メロ音設定だったり、写メだったり、一般的にはどうでもいい事である。

勿論、そのどうでもいい悩みが最終的に、死因解明の伏線だったりもするので、ストーリー的には大事なのであるが、彼の態度は、時として異常なのだ。



しかし、この「ヴォイス」における、そんな大己の青春モノ主人公としての不足を補っているのが、大己の親友の亮介を初めとする他の4人の面々なのである。

彼等は普通に、家庭の悩み、過去の悩み、成長の悩み、友情の悩み、恋愛の悩み、すなわち内面を持ち、青春ドラマとしての「ヴォイス」を、成り立たせているのだ。

「ヴォイス」が月9に、座りよく収まるためには、彼等の「内面」は、必要なのである。

    ◆

「篤姫」や「ラストフレンズ」などで好評を博し、本来は「悩み」系の俳優であると思われていた瑛太が、内面の無い変人・主人公を演じて、「ヴォイス」を推理モノ方向に引っ張り、残りの4人が、逆に青春モノ方向へ引っ張ってバランスを取る。



今後、大己が青春モノへ傾くのか、他の4人が推理モノへ入っていくのか。

楽しみである。



まさむね

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