ビートルズにおける猥歌合戦 ~ポールVSジョン~
ジョンとポール。
作詞者としての二人を比べる、その個性のコントラストに改めて驚かされる。
例えば、二人の作品がシングルのA面とB面でわかれたケースにそれは顕著だ。
Can't buy me love と You can't do that におけるポールのロマンとジョンの暴力性。
Paperback Writer と Rain におけるポールの物語志向とジョンの哲学。
Strawberry Fields Forever と Penny Lane におけるジョンの内面性とポールの明るさ。
Hello Goodbye と I Am The Walrus におけるポールの解りやすさとジョンの難解。
Hey Jude と Revolution におけるポールの優しさとジョンの社会性。
簡単に言ってしまえば、二人は正反対の個性を持っている。
そして、だからこそビートルズの宇宙はあれほど、豊かなのである。
勿論、ジョージとリンゴの存在も忘れてはいけないが、本稿では話の流れ上、横に置かせていただく。
◆
さて、ここではその対比の中でも、二人の"卑猥さ"に注目して論を進めてみたいと思う。
最近では桑田佳祐さんの曲ぐらいでしか聴かなくなった卑猥フレーズ(ここでは、猥歌と表記)だが、ちょっと前のフォークやロックには猥歌がたくさんあった。
勿論、ビートルズも例外ではない。
それどころか、僕の解釈だとビートルズこそ、優れた猥歌メーカーなのである。
◆
まず、ビートルズの曲の中で猥歌として最も有名なのがHappiness is a warm gun。
White Albumに収録されている3部構成のジョンの曲だ。
まずは1部。
The man in the crowd with the multicoloured mirrors on his hobnail boots
Lying with his eyes while his hands are busy working overtime
人ごみの中にいるあの男 鋲を打ったブーツにつけた極彩色の鏡が光る
彼の目は嘘をつき 手は超過勤務で忙しく働いている
ここは普通に訳しても、あやしげな感じだ。
さらに、もっと意訳すると、靴に鏡を備え付け、何食わぬ顔をしてその鏡に映した女の子のパンツを眺めながら、手でオナニーをしているというとんでもない歌詞なのである。
そして2部。
Mother Superior jump the gun
修道院の層尼長がgun(おちんちん)に飛びつく
ちなみに、Mother Superiorは、ヨーコの隠語という解釈も成り立つ。
このさらに3部。
Happiness is a warm gun mama
発射直後の銃にこそ幸福がある ママ~
勿論、この歌詞は別解釈がある。
特に、3部のwarm gunは「射精直後の温かいペニス」という猥歌的解釈の他、「打ったばかりのヘロイン注射」というドラッグ的解釈と「撃ったばかりの銃の銃口」という暴力的解釈が可能だ。
Happiness is a warm gunは一曲丸々猥歌であるが、その他の曲では、その一部が猥歌である。
◆
例えば、Glass onionの以下の箇所。
Fixing a hole in the ocean Trying to make a dove-tail joint
海にある穴を埋めながら、鳩の尾っぽ型の蟻継を作ろうとしながら
ここでいうFixing a hole in the ocean(=海にある穴)のoceanはヨーコのことと読み替えれば、ヨーコとセックスするって事になる。また、「鳩の尾っぽ型の蟻継を作ろうと」というのは、ペニスを勃起させながらということ。
そう思って蟻継を見てみると確かに卑猥に見えてくるから不思議だ。
その他、ジョンの猥歌にはCome together、Dig a pony等がある。
具体的に見てみよう。
Come together は以下のところだ。
he got walrus gumboot He got Ono sideboard
彼はセイウチのゴム長靴をはき(ジョンはコンドームを付け)、“オノ”のサイドボードを備える(ヨーコを抱く)
Come together right now over me
俺の上で 今すぐ、一緒にイけ!!
また、Dig a pony の、Ponyは Pretty ONo Yokoの事。
そのPonyを掘る(Dig)というのは、ヨーコとセックスするという歌である。
こう見てみると、ジョンの猥歌は、ほとんど、ヨーコ絡みの歌である事に気付く。
さらに蛇足ではあるが、こういうジョンとヨーコという文脈で見ると、Revolution9の最後の方に出てくるヨーコのセリフ。
You become neked
あなたは裸になったのね。
というのも意味深に見えてくる。
◆
さて、一方、ポールの猥歌を見てみよう。
よく知られているのが、All together now。
Can I take my friend to bed
友達をベッドに誘ってもいい?
子供向けの童謡にこういうフレーズを忍び込ませるポールは茶目っ気たっぷりだ。
そして、Why don't we do it in the road。
Why Don’t We Do It In The Road
なんで道路であれをしないんだ (勿論、道であれをするさっ)
勿論、ここでいうitをどのように解釈するかで意味は変ってくる。
有力な説の一つとして、この歌をストーンズのStreet fighting manの返歌という説がある。すなわち、itを革命、暴動、ストリートファイトと取る解釈だ。
しかし、itを別に解釈すれば、一転、猥歌になる。これこそ、猥歌の本領というべき手法だ。
マルクスは革命をするとSEXがしたくなるとどこかで書いていたが、まさにそういった微妙な反転を利用した歌詞と言えなくもない。
また、隠語として有名なのが、Penny laneの以下のフレーズだ。
Full of fish and finger pies in summer
夏にはフィッシュ&フィンガーパイがいっぱいだ
fish and finger piesというのは、リバプール地方の隠語で、女性器を表すそうだ。だとするならば、以下のように訳せる。
夏はオマンコだらけだ
また、同様に、honey pieは(甘いオマンコ)、Wild honey pieは(毛むくじゃらで甘いオマンコ)という意味になる。
◆
さらに、ポールの隠された猥歌をいくつか紹介しよう。
まずは先ほども出てきたPenny laneの一節だ。
In Penny Lane there is a fireman with an hourglass and in his pocket is a portrait of the Queen.
He likes to keep his fire engine clean,
ペニーレインには砂時計を放さない消防士がいて女王の肖像をポケットに入れて持ち歩く
消防車はこまめに彼に磨いてもらって いつもピカピカ
普通に訳すと以上になるのだが、このfire engineは実はペニスの隠語だ。だとすると、「ポケットの女王様の肖像をオカズにいつもゴシゴシとオナニー」というとんでもない内容になってしまうのだ。
◆
また、自然を歌った名曲、Mother Nature's son。
非常に微妙なところではあるが、通常だったら、Mother nature's sonのところが、この歌では、Mother Nature's son、natureのnが、大文字のNになっているのだ。
すなわちそれは慣用句である事を表す。
Mother Natureは「自然の摂理」、つまり「オシッコ」という意味なのだ。
そうするとこの歌の2番が特に意味深になってくる。
Sit beside a mountain stream
see her waters rise
Listen to the pretty sound of music as she flies.
山のせせらぎのそばに腰を下ろし水かさの増すのをごらん
その流れが奏でる美しい調べに耳をかたむけよう
これが普通の訳だが、Mother Natureをオシッコとするとこういう解釈になる。
山のせせらぎのそばに腰を下ろし水かさの増すのをごらん
(女の子がしゃがんでおしっこをしているから水かさが増す)
その流れが奏でる美しい調べに耳をかたむけよう
(この調べは、オシッコが飛んで水面に飛び込む音ということだ)
これもポール一流のシャレ気だと思う。
◆
さらに、ポールの大ヒット曲「Hey Jude」もある意味、猥歌である。
それは2番のBメロの部分。
So let it out and let it in,
hey Jude, begin,
You’re waiting for someone to perform with.
心を開いて迎え入れればいい、
ねぇジュードスタートを切れよ。
誰かが助け船を出すのを待っているのかい?
この歌は優しいポールがジョンの息子ジュリアンを励ますために作った曲である。
だから、この部分の歌詞は、とても素晴らしい。
ところが。卑猥メガネをかけてみるとこういう解釈ができる。
(それ)を自分で入れたりだしたりしなきゃダメ。
ねぇジュード早く始めてよ。
やってもらうのを待ってるの?
◆
こう見てくると、ジョンはヨーコとのセックスをどちらかといえば、ストレートに猥歌として表現、ポールは、様々なタイプの曲、しかも一見、卑猥とは全く縁の無いような曲の中にこっそり猥歌を忍び込ませている。
武骨で実直なジョンとおシャレで茶目っ気のあるポールという対比になると思う。
どちらが優れているかというのは好みの問題にもかかわってくるが、僕はこのジャンルではポールのセンスの良さに一票入れたい気がする。
まさむね
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