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2009年4月27日 (月)

双子の妹を持つ僕にとっても気になる『ぼくの妹』

TBS日曜劇場『ぼくの妹』は、今村昌平の脚本助手を務め、『復讐するは我にあり』『楢山節考』の脚本をも手がけた社会派のベテラン脚本家・池端俊策によるやや重の力作である。

第2話が終わった段階だが、2回とも放送の最後5分にググッと動くという展開。この独自の溜め(タメ)は微妙に現代的ではないが、癖になりそうだ。



江上盟(オダギリジョー)は、子供のころから神童と呼ばれた秀才肌の外科医。その妹・江上颯(長澤まさみ)は、「奇跡的なバカ」と言われながらもたくましく生きる兄とは正反対のキャラクタだ。

幼い頃に両親を亡くした二人が、喧嘩をしながらも降りかかってくる苦難に立ち向かっていくという筋立てである。



主人公の盟にとって、世界は混沌に満ちている。自分以外の登場人物は全て謎を秘めた存在なのである。

第1話の最後に目の前で死んだ桐原里子(ともさかりえ)、第2話の最後に登場し、恨み言を残す九鬼研次(千原ジュニア)。

突然、自分の日常に忍び込んでくる「気持ちの悪い別世界」は、不安と隣り合わせの現代社会、いわゆるカフカ的とも言える不条理で不気味な肌触りを持っている。

今後、この気持ちの悪さが、いかに盟の中に忍び込んでくるのかがテーマになるであろう。

そして、本来ならば日常のコチラ側の世界にいるはずの妹・颯が、逆に、ますます盟の心をかき乱す。

しかし、それは一方的ではない。

真面目な兄が奔放な妹を心配するという、兄の思い描く理想的な安定した構図からハミ出し、兄自身の不手際によって、逆に妹を頼ったりする、その情けなさが兄妹ドラマの面白いところである。



確かに、両親を亡くした兄と妹の物語、兄が妹を面倒みようとするが、逆に妹が兄を癒し助けるという図式は、古くて新しい日本の物語の一つの典型である。

民俗学者・柳田國男は、『妹の力』(いものちから)の中で、妹(家の中の女性たち)の霊的な力について言述していたが、僕はそれを無理やり、兄を守る妹の不思議な力として解釈したいと常々思っていた。

映画『フーテンの寅』シリーズが代表だが、その陰画ともいえる北野武の『その男、凶暴につき』、青春版としての南こうせつの『妹』から、その究極としての悲惨な『火垂るの墓 』、ヤンキー版『ヤスコとケンジ』まで、脈々と「両親を失った二人だけの兄妹(あにいもうと)話」の系譜に上手く乗りそうな予感がする今回の『ぼくの妹』。



実は僕自身、双子の妹を持つだけに個人的にも気になる作品なのである。



まさむね

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