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2009年5月 6日 (水)

BeeTVには成功してほしいと思う反面、失敗すればいいのにと思う

5月1日からdocomoの携帯で「BeeTV」というメニューが始まった。



「BeeTV」というのは、エイベックス・エンタテインメントとNTTドコモの合弁会社、エイベックス通信放送が始めた新しい試みで、携帯電話向けにドラマ、バラエティー、音楽など全8ジャンル計20本以上の作品をNTTドコモのiモード向けに毎週配信するサービスとのことである。

スタート時には、市原隼人、飯島直子、杉田かおる達が出演するドラマや、和田アキ子とみのもんたの対談、小倉智昭の本音トーク、浜崎あゆみのPV見放題、東方神起のプライベート映像、サマーズのお笑いに加え、1分弱のアニメ映像等がラインアップされている。



携帯電話というメディアにしては、思い切った内容、とにかくメジャー感溢れているのである。みのもんた、和田アキ子、小倉智昭という地上波の顔みたいな人が出ているのが驚きだ。

しかし、結果というのは残酷なもの、おそらくアクセス数であろう、数日経った今日の順位で言えば、市原隼人が出演するドラマが第1位、東方神起が2位、小西真奈美が出演するキャバクラが舞台のドラマが3位なのである。



テレビの顔達は微妙にランク外。当たり前だ。今更、彼らの顔を携帯で見ようなどと、少なくとも携帯のユーザーは思わないだろう。しかし、漏れ聞こえて来る和田や小倉のギャラを加味して考えるならば、彼らの存在は、「BeeTV」自体の「本気度」を伝えるには有効なキャラであることは確かだ。ちなみに、さらなる本気度を見せるにはジャニーズタレントを出演させることだろうが、現時点では、ジャニーズと吉本は不参加のようである。



ところで、このBeeTVの試みの面白さは、今後の携帯電話での映像コンテンツがどの方向に行くのかを占う実験的なところだと思う。どんなコンテンツが受けるのか、それは映像の時間(尺)から音量から、カメラアングル等のベーシックなところからの試みがこれから始まるのである。

また、実験といえば、たとえば、「ひつじが一匹、ひつじが二匹...」とただ、ひつじを数えるだけのアニメとか、かわいい犬だけをテロップ付で流す癒し系番組などがあって、携帯電話の映像ならではの挑戦も見られる。これらのうち、どれが生き残っていくのか楽しみだ。ドラマに関して言えば、小西真奈美のキャバクラドラマは、微妙に「寄り」の絵が多く、またキャバクラの髪の盛り方等が紹介され、こちらも微妙にプラグマティックなのが携帯を意識した特徴か。おそらく髪型などは興味のある人は何度も見てしまうに違いない。今後のさらなる展開を見てみたい。



さらに、携帯電話というテクノロジーをどう生かしていくのかというのも気になる。個人的にいえば、アクセス数での順位付けに加え、アクセスだけではなく、ユーザーからの評価を算出するシステム(例えば、会員は月あたりの持ちポイントを持っていて、番組別にポイントを投票できるようにするとか)や、入会時に入力する年齢や性別等のユーザーの属性によってメニューやドラマの結末が知らず知らずのうちに違っているなどの携帯ならではの「芸」を見せてほしい気がする。

「あなた専用放送局」というのがキャッチフレーズのようだが、どれだけその言葉にリアリティが持たせられるかそれを見届けたいのである。

また、携帯ならではという点で言えば、この「BeeTV」のお試し期間、1週間無料というのは面白いシステムだ。実際のところ、多くの公式の月額有料サイトが、入会して、その後、退会し忘れているユーザーの怠慢によって経済的に成り立っているという現実があるのは周知の事実だ。だから、この「BeeTV」が「お試し期間、1週間は無料!」と謳うことによって、とりあえず入会させるというのは正しい選択なのだ。そして、これは携帯というハードにユニークなIDを付加されているメディアだから出来ることなのである。

僕は開局してすぐに会員として登録した。上記のからくりを少しでも理解していたので、すぐに解約してしまった。また、入会すればいいと思ったのだが、2回目はお試しが出来なくなっていた。かなりのコンテンツを既に見てしまったので逆に、ドラマ等の次が気になってしかたがない。

「BeeTV」の戦略にうまく載せられてしまったというわけである。

       ★

勿論、このメニューが、ビジネス的に成功するのかどうかという点も気になる。このサービスは広告モデルではなく、一人315円(税込)/1ヶ月の個人課金モデルを採用しているのである。週、20本だから、1ヶ月に約80本、1本あたりの制作費をとりあえず、1千万円とすれば(あんまり根拠無いけど)、月8億円の番組制作経費がかかることになる。単純に計算すれば、それだと約300万人が入会しないとペイしないことになる。勿論、コンテンツは二次的にテレビ(地上波、BS、CS)に流用されたり、DVD販売されたりするのだろう。ちなみに、エイベックスからの発表によると初年度目標会員数は70万人、初期投資は70億円とのこと、(携帯専用放送局、1日開局へ ドコモとエイベックスが合弁会社)今後、どうなっていくのであろうか。

もっとも、おそらく、出演者のギャラはテレビ出演のような高額ではなく、初期いくら、一視聴毎にいくら、二次使用時にいくらというような形式で支払われていくのかと思われる。ある意味、それは、タレントにとってやりがいのある支払いシステムになるにちがいない。逆に言えば、名前だけの大物にとってはつらいものになるかもしれないが。



さらに言えば、今、タレントにとっても大きなストレスは、「テレビの制約」ではないのか。だとするならば、こういったメディアを、言いたいことを言ったり、本来やりたかった芸を披露する場として活用していくタレントが増えていくかもしれない。

確かに、小倉智昭等は、初回から「いいたい事=ニュース解説」を言っていた。ただ、その内容が既にネットでは当たり前レベルというのが逆にさびしい気もする。

       ★

いずれにしても、ドコモ、エイベックスという大資本がこういった新しい挑戦をするというのは歓迎したい。そして、おおいに動向を見守っていきたいと思う。正直言えば、半分位、成功してほしいと思うし、半分位、失敗すればいいのにと思っているのだ、僕は。



まさむね

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