善光寺の立ち葵に見られる反骨精神
長野・善光寺が七年に一度のご開帳をしているという。
開帳されるのは、白雉5年(654)以来の秘仏とのこと。
中央に阿弥陀如来、向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩が並ぶ、ありがたい三体である。
僕は残念ながら行けないが、多くの人が拝みに長野に足を運ぶのであろう。
さて、善光寺と言えば、昨年の北京オリンピックでの長野での聖火リレーのスタート位置を、辞退したことがまだ記憶にあたらしいところである。中国のチベット政策に抗議しての大英断に対して、世界中の心ある人々が快哉を叫んだのだ。
政治的な圧力(空気)に屈せず、あくまでも自分達の信念を貫くという善光寺の反骨精神は、おそらく長年の歴史が生んだ伝統なのであろう。
実は、僕はご開帳の事をJRの駅のポスターで知ったのであるが、そのポスターを見て、さすが善光寺と思わざるを得ない箇所があった。おそらく、ご開帳の儀式の写真であろう。本堂の正面には、皇室の象徴である十六複弁菊が左右につけた幕が垂れているのであるが、その後ろに、正面から向かって左は卍、右は立ち葵紋が隠れながらも見えているのである。
つまり、それを僕なりに解釈すると、建前は皇室を敬いながら、その陰ではこっそりと自分を主張する。自分達の伝統を誇示するそんなメンタリティが読み取れるのである。
さらに、この本多家の立ち葵、徳川家康が、家臣の本多忠勝に対して、葵紋を控えるように諭したのだが、「殿こそ、新田の家だと言われるのなら大中黒にされれば...」と一歩も引かずに、自家の紋を守った事で知られている。
それによって、この忠勝の本多家の一族である、善光寺本田家も、立ち葵を守ったのである。
時の権力者・家康の横車にもめげず、明治以降の国家権力にも表面的に従うように見えても本音は隠さず、隣の大国・中国の横暴にも反骨精神を見せる。そんな善光寺のよき伝統、これからも是非守ってほしいものである。
まさむね
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