妻がしてしまった失敗は義母に謝るべきか
昨日の『サザエさん』でちょっと気になるシーンがあった。
サザエさんが洋裁に凝ってしまい、晩御飯の仕度をフネをまかせっきりにしてしまったのだ。
それに対して、夫のマスオが、サザエさんの実母のフネに謝るのである。
何気ないシーンであるが僕は微妙な違和感を感じた。
例えば、自分の体験では、妻が何かマズいことをした時、妻の母が僕に謝ることはあっても、僕が妻の母に謝るということは考えられないからだ。
逆に、僕が妻に対して、何か悪い事をしてしまった時は、僕は義母に謝るのは当然といった意識はある。
つまり、僕の場合、サザエさん的世界とは、謝る人と謝られる人関係が逆になっているのだ。
妻にその事を話したら、「それは所有意識の差よ。」と言われた。なるほど、そういう意味では妻はまだ義母さんのものなのか?
しかし、いつから、サザエさん的世界が「現代」になったのだろうか。
最近、浅野忠信や宮沢りえが、大人になったカツオやワカメに扮するCMがあったが、それによると、2008年にカツオが36歳、テレビアニメの時代はカツオが11歳だから...
ようするに、そこから計算すると、テレビアニメは、1983年の出来事ということになる。
そういえば、昨日の放送回では、たまたま電話というのが一つのテーマだったからよく覚えているのだが、サザエさんの家の電話は手回しの黒電話だったが、モダンな友達の家の電話はプッシュフォンだった。
黒電話とプッシュフォンの混在、これは1983年という時代の状況として正しい。
という事は、妻の失態に夫が母に謝るのか、母が夫に謝るのかという変化は、バブル以降の出来事なのだろうか。
大雑把に言えば、その間、男女雇用機会均等法の成立、女性の経済的自立、精神的自立、男女共同参画社会基本法成立という流れがある。
そして、いつの間にか、サザエさんの時代が「現代」になってしまっているのであった。
妻がこの現象を説明するときに使った「所有」という概念だが、それで思い出すのが、夫婦別姓に関わる民法の改正案だ。
結局、この夫婦別姓問題の本質って、女性の自立という問題ではなく、女性の所有意識を夫が持つか、母が持ち続けるのかということなのかもしれない。
そして、現代の母優勢の流れが夫婦別姓の盛り上がりの背景にあるのは間違いない..と思う。
さらに言えば、娘を夫から母が取り戻す運動が、夫婦別姓運動なのかもしれないのだ。
しかし、実は、元々、日本人には、夫婦別姓的DNAがあるという見解もある。
例えば、僕の興味の対象の「家紋」の世界では、関西を中心に女紋という伝統がある。それは、女性が旦那の家に入っても家紋は、実家の母の紋を使用し続けるという風習だ。
また、詳細はまたの機会に書くが、源平藤橘を代表とする「氏」というのは、嫁ぎ先の「氏」ではなく、生家の「氏」を引き継ぐものなのである。
それにしても、僕たちはいつまでサザエさんをリアリティある世界として見続けられるのだろうか。
ちなみに、テクノロジーで言えば、サザエさんの世界にはまだ、パソコンも携帯電話もない。
とりあえず、なんとなく毎週見ている番組だ、初めてサザエさんに携帯電話が登場する歴史的瞬間は見逃すまいと思う。
まさむね
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