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2009年8月26日 (水)

グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業って何処?

「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」は刺激的なタイトルである。

著者は、NTTドコモでi-modeを立ち上げた一人夏野剛氏。現在は、ドワンゴ等の取締役、慶応大学の教授だ。

ウェブビジネスはリアルビジネスと同じ、供給側の都合ではなく、ユーザーのニーズにあわせてシステムを考えてつくるべきとの主張はもっともである。



夏野氏は言う。



ウェブサイトの作りが親切でないケースも多い。

例えば、個人情報を先に登録させるサイト。何か買物をしようとするとまず「登録をしてください」と出てくる。かなり多くの人が、こういった経験をしているのではないだろうか。



確かにそうである。例えば、docomoのi-modeの公式サイトの多くが月額課金制度を採用しているため、メインメニューから少しでも奥にはいろうとすると、いきなりマイメニュー登録への勧誘とパスワードの入力を求めてくるのだ。一体、誰が設計したのだろう(プンプン)。とおもったら、著者の夏野氏だった。



さて、この本、全体的には面白くもない自慢話がメインなのであり、日本でi-modeが爆発的にヒットしたという話は、またかという感じだが、「何故、海外進出したときにそれ以上損をしたのか?」というさらに、読者(ユーザー)のニーズにあわせた話、つまり大変、重要な話が書かれていなくてちょっと欲求不満だ。



おそらく、この「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」で、夏野氏は、人間というものは、えてして他人には厳しく、自分には盲目、という人生における重要な点を身をもって教えてくれているのだろう。また、この夏野氏、「1兆円を稼いだ男の仕事術」という本も出している。かの坂本龍馬は、「恥を捨ててこそ何事もなるべし」と言ったらしいが、こんな本が書ける夏野氏の「恥の捨てっぷり」には頭が下る思いだ。



それはともかく、僕が普段思っていることで、この夏野氏も考えておられる点があったので、これを機に考えてみたい。

それは企業の広告部が、何故、効果がよくわからないテレビCMに気前よく何億円も出すのに、効果測定が厳密で、頭の使い方によっては広告効果が目に見えて向上するネット広告に対してシビアなのだろうかという点だ。アフリエイト広告などは、告知だけではなく、そのバナーをクリックしてその先のページで物品を購入して初めて広告料を払うなどという、広告主にとってはまことに有利な条件すら存在するにもかかわらず、広告主は、ネットでのCMに消極的なのである。

夏野氏はその原因は、ネット広告では効果測定がしやすすぎるのが逆にネックになっているのではないかと述べている。

確かに、広告を出稿して失敗した場合、その失敗自体が、明確になってしまう。そうすると広告担当者にとって、社内的にヤバいだろう。

しかも、ネット広告は結果がすぐに出るし、結果が出た後の修正も、幸か不幸か簡単に出来てしまうのだ。

ということは、担当者がこまめにその結果をチェックして、次の対策を打たなくてはならなくなるのだ。



テレビ広告を出してから数週間後に、代理店から渡された資料を眺めながら「う~ん。厳しいですな。」などと言うだけの会議をしている場合ではないのである。

おそらく、テレビCMに比べて、インターネットのCMの方が企業の広告部にとっては面倒だし、仕事は増えるし、失敗は突きつけられるし、その失敗を(番組内容など)他人のせいに出来にくいという様々なデメリットがあるのだろう。



夏野氏は言う。



ネット広告は、いまだ他のメディアに比べてフェアに扱われていない。他のメディアはワンウェイだから、そもそもの効果をどうやって測るんだということを疑問視せずに。そのまま大枚をはたいている。テレビや新聞でせいぜい有効なのは、企業または商品のブランディング効果だろう。各企業は、本当にそこに価値を感じて億単位の広告費をかけているのだろうか?





しかし、担当者の面倒くささがあったとしても、テレビ広告に替わってWEB広告という流れはもう止められないだろう。

企業の方も、余裕のある時代は去りつつあるからだ。



「いつものようによろしくお願いします」と軽く頭を下げれば、大手代理店の、おそらく体育会系の大柄な営業マンに、「おまかせください」みたいなこと言われて、「それでは銀座行きますか?」みたいな流れに身を預けるだけで仕事をしたような気になっていた時代にはもう戻れないである。



まさむね

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