城繁幸の主張はわかるが、中高年はどうすればいいのか
民主党が予想外の圧勝をした。
とりあえずは期待したいと思う。
そういえば、選挙当日の夜、テレビ(テレビ東京の討論番組)を見ていたら、早くも民主党の雇用対策に対する不安に関して議論がされていた。
主なところで民主党の雇用対策は以下の3つだという。
1)職業訓練中の10万円支給
2)2ヶ月以内の派遣の禁止
3)1000円の最低賃金
確かに、1)~3)まで、どれをとっても、一見、悪い政策のようには思えない。
しかし、よく考えてみれば、これで、本当に雇用は増えるのだろうかと不安を感じざるを得ない。
誰が考えてもそうだが、雇用を拡大するには、経済が成長しなければならない。民主党のマニフェストには、そこがすっぽりと抜け落ちているのだ。
勿論、政府が主導で経済成長が実現されるような時代は既に終わっている。
政府に出来るのは、その仕組みを作ることだけだろう。
しかし、竹中平蔵氏が言うように、法人税減税と、規制緩和、霞ヶ関依存からの脱却、本来の意味での地方分権、これが民主党に出来るか。
日本経済の活性化はそのことにかかっているようにも思える。
また、成長戦略に関しての具体策を求められた鳩山・民主党代表は、子供手当てや高速道路の無料化などの個人への直接支給に言及されていたが、前にも書いたがそれは、都会のオタクから田舎のヤンキーへの所得移転の話であって、使える金の総量が増えるわけではない。
わかりやすく言えば、海洋堂の売り上げがオートバックスの利益に変わるだけの話ではないのか。
それなら、まだいいが、子供手当て支給で、子供とは関係の無い京楽やキリンビールの売り上げが増えたら、民主党は、どう責任をとってくれるのだろうか。
さて、鳩山代表は、さらに、経済成長に関して、宇宙開発、海洋開発などと夢のような話をされていたが、本当に雇用問題が切実な中高年にとって、今更、ロケット産業などにどうかかわればいいのか、不安は全く解消されないだろう。
★
残念ながら『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』の著者の城繁幸氏がそれこそ一本ネタで繰り返す日本の会社の雇用形態、つまり、中高年のノンワーキングリッチのせいで、若者のワーキングプア、あるいは失業が生み出されているという構造、この世代間の問題は、民主党政権になっても解決しそうではない。
民主党の主な支持団体が連合だからだ。
連合は、それこそ、組合員の正社員の利益を守ることが第一である。
確かに、非組合員労働者に対しても同情し、共闘のポーズを見せてはいる。
しかし、派遣の禁止、正社員化との主張は本気でなされているとは思えない。
労働賃金を分配する財布は一つなのだ。現在の派遣社員、非正社員を正社員にしたら、当然、現在の正社員の給料を減らさざるを得ない。そんな状況を連合の人々が認めるはずが無いではないか。
誰でもわかる算数の問題である。
結局は派遣が規制されれば、今までの派遣の人々は職を失い、その分、正社員が忙しくなる、残業が増える。そして、残念ながら、働きすぎる一部の正社員と、暇(失業)で貧乏なその他の人々という構図は変わらないのではないかと思われる。
★
実は、僕は、現在は正社員である。だから既得権益者の立場にいるということは認めざるを得ない。
しかし、僕たちだって、雇用の流動性が無ければ、その立場を退くわけにはいかないということもわかってほしい。
さらに言えば、この10月で50歳になる。若者よりもよっぽど厳しい崖っぷちに立たされているのだ。
もしも、失業したら、それこそ若者の何倍も厳しい就活が待っているのである。
城繁幸氏の主張する世代間の不公平という議論はわからないではないが、体が動かない。
いつの間にか、子泣き爺化している僕ら中高年達、そのしがみつく手を離せないという状況に自己嫌悪すら感じる毎日である。
中高年の正規社員、いわゆる半分、不良債権化した既得権益者は、じゃあどうすればいいのだろうか。
ノンワーキングリッチと言われないように、若者以上に必死に働いくしかないのだろうか。
逆に、城氏に聞いてみたい。
まさむね
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