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2009年9月26日 (土)

また、権力に翻弄されるかわいそうな住民という寸劇か

前原誠司国土交通相は、八ッ場ダム視察した。結局、地域住民とは会ってもらえなかったが、この視察にはそれなりの意味があった。

大局的に見れば、ダム建設中止に向けて一歩進んだと見ていいのであろう。日本全国の無駄な公共事業の中止をマニフェストとして掲げた民主党、今までの官僚が決めたことは絶対という硬直したシステムへの挑戦にはおおいに期待したいものである。



さて、客観的に見ても、ダム建設を進めるか、中止すべきかに関して言えば、単純にそのダム建設がどれだけの公益性が見込めるのかという点が重要なのは当たり前の話である。

しかし、民主党の説明によると、八ツ場ダムに関して言えば、治水、利水両面において、既にほとんど意味がなくなっているという。だとしたら、工事を中止するのが筋なのであろうが、その算定に関しては、今までの国交省の公式発表とは全く異なっているから話がややっこしいのだ。国交省によれば、ダムの費用対効果は3.4もあるという。今までの経験で言えば、行政の言うことは怪しいのでは?という推測は出来るが、実際はどちらの言うことが正しいのであろうか。



また、テレビでは既に工事の7割は完成しているというような説明があったが、社民党の保坂氏のブログなどで確認すると、それはただ、総工事見積もりの7割を既に使ったというだけの話らしい。地盤整備などの事業に対する見積もりが当初からかなりずれていて、実際には、2割程度の作業しかできていないという話もある。ということは、今後はさらに多額の費用がかかる可能性もあるということだ。これに関しても、はたして一体、どちらの見積もりが正しいのであろうか。



また、テレビでは、ダム建設中止反対住民という方が話しをしていたが、その理由は、大雑把に言って「今さら、中止というのは、私たちの今までの苦労はなんだったの?」という話だ。また、既に墓所まで移動させられていて、どうしてくれるのかというような人もいた。

しかし、ダム建設で住居移転を迫られた人々には、今までも、当然、補償がされていると思われる。

はたして、一体、どういった補償条件で移転を承諾したのだろうか?それがわからないので、テレビのこちら側としては、同情していいのか、それとも、そんなの我慢しろよという風に感じるべきなのかがよくわからないのである。



さらに言えば、、ダム建設には大きな利権がかかわっていると思われる。国交省OBの天下り団体とか、地元の土建屋とか、中止によって困る人々の具体的な声をテレビでは全く流してくれないのにも困ったものだ。いつもそうだが、利害当事者は、こういった時、一体、何を考えているのだろうか。なぜ、テレビはこういった人々の取材をしないのだろうか。あるいは、取材を断られたなら断られたということを教えてくれないのだろうか。



まぁ、ようするに、1)ダムを作ったほうが公共的な利益になるのか、2)作り続けた場合今後どれだけの費用がかかるのか、3)今まで住民はどのように補償され、今後ダム建設中止された場合にも、住民は具体的にどの程度補償され続けるのか、4)ダム建設中止によって国交省OBの天下り先はどれだけ困るのか等といった重要な点が、テレビではぼかして報道されているため、ただ、「国家権力が住民を翻弄している」という過去数十年にわたって見せられ続けてきた物語の別バージョンにしか見えないのだ。



ダム問題の帰結も勿論、重要なのだが、テレビが描く物語のつまらなさ、大雑把さの方に嫌気がさす。

勿論、これは、いつもの話ではあるが。



まさむね

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