基本が大事、ラーメンチェーン店・日高屋のビジネス姿勢
いつの間にか、地元の駅前商店街に日高屋が出来ていた。
ご存知の方も多いとは思うが日高屋とは、ハイデイ日高が経営する、低価格を売りにしたラーメンチェーン店である。
現在、埼玉、東京を中心に200店舗以上が存在し、ハイデイ日高は東証一部上場の優良企業となっている。
先日、入ってみた。
店内がとても綺麗で広い。出来たばかりだからかもしれないが、普通のラーメン屋に染み付いているあの「独特の汚れ」が無いのである。勿論、僕は各ラーメン屋が持つ「独特の汚れ」を否定する気は無い。それがあるがゆえに、いい雰囲気を醸し出している店は多いからだ。
しかし、この日高屋には場合によっては嫌悪されかねない汚れを排除しようとする店の姿勢が感じられる。
これも偶然なのかもしれないが、店員がイケメンである。しかも、メニュー構成がわかりやすいし、店員を呼ぶための呼び鈴も用意されている。あの、「すみませ~ん」という声をかける必要が無いのだ。
さらに、メニューを注文すると出てくる間の時間が短い。さらに嬉しいのが、妻と二人で行ったのだが、両方が注文した品が同じタイミングで運ばれてきたのである。
そして、味。特にメチャクチャ美味いというわけではないのだが、無難なおいしさがある。
おそらく、最大公約数の味なのだと思う。オリジナリティがあるわけではないのだが、「嫌な味、匂い、温度」といったお客が困ってしまうような要素が入っていないのだ。
個人のラーメン屋では、メチャクチャ辛かったり、脂っこかったり、ネギが多かったりとその特徴でお客を呼ぶ店が多いが、この日高屋に関しては、そういった個性を一切排除しているような印象すら受ける。
しかも、ラーメンに半チャーハンと餃子のセットで800円、さすが低価格を「売り」にしているだけあって、安い。
既に200店舗のチェーン展開している店に関して今更、あれこれと評論するというもなんだが、この日高屋、僕なりに見抜いた営業コンセプトは、「お客さんにとって嫌なものは全て排除しよう」だと思った。
これはあくまでも僕の印象だが、フッと入る街のラーメン屋で嫌だと思うことを列挙するとこうなる。
1)店がなんとなく汚れている。
2)大声で呼ばないと店員が来ない。
3)狭くて、他のお客さんとの距離が近すぎる。
4)ラーメンに餃子とか半ライスとか頼んでいくといつのまにか高額。
5)なにげに暑い。
6)注文したモノがなかなか来ない。
7)同伴者の注文品と来るタイミングがずれる。
ところが、日高屋ではそういった「嫌なこと」が全て、周到に排除されているのだ。特に特徴があったり、美味いわけでもないが、こういう配慮は嬉しい。おそらく女性一人でも気楽に入れるのだろう。綺麗好き、親切、でも親切過ぎないといった日本的作法が最大限に生かされているからだ。
現在、日本経済は内需拡大が一つの大きなテーマになっている。そして、そのためには、製造業に比べた時のサービス業の生産性の低さをどうすれば改善できるのかという点が話題になることが多い。日高屋の店作り、接客を見ているとそのあたりに気を配るセンスが見られる。おそらく、効率性も高いのだろうと想像させる。もしかしたら、これはディズニーランドやイケアといった大手海外サービス業のノウハウが日本的に消化され、昇華されたいい例なのかもしれない。
たかが、ラーメン屋などと言ってはいけない。どんなビジネスでもそうだが、当たり前のことを当たり前にやる、顧客の身になって考える、常に改善の意識を持つという基本を改めて考えさせられた。
まさむね
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