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2009年9月16日 (水)

手を出すのが早い人は駄目ですよ。とイチローが言った

昨日、「ビートルズを利用して己の思想を語る輩、困ったものだ」というエントリーを書いておきながら、僕は今日はイチローの言葉を借りて、それをきっかけに、考えたこと書こうと思っている。はたして、この不誠実さを神は許してくれるだろうか。



さて、そのイチローだが、先日(13日)、メジャー初となる9年連続200安打という偉業を達成した。

そして、彼は試合後のインタビューでこう語った。



--キーラーはどうしてヒットをそんなに打てるんだって聞かれたら「人のいないところに打て」と言った。同じことを聞かれたら何と答えるか



「そうだな~。手を出すのは最後だよってことかな。これは僕のバッティングを象徴しているもの。やっぱ手を出すのが早い人は駄目ですよ、何やるにもっていうとこだと思いますけどね。その手を出さないためにどうするかをむしろ考えているのが僕。でも、どうやって早く手を出そうかって考えてるのが、割とふつうというか。真逆なんですよね考え方が。だから、手を出さないからヒットが出るということじゃないでしょうか」。




今の時代、"とりあえず何にでも手を出してみる"というのが一つの価値になっているのではないかと思っていた僕にとって、その言葉は若干衝撃だった。

例えば、昨年ブームとなった"お馬鹿"芸人たち。彼らは、わからなくてもとりあえず、ボタンを押して、合っているかどうかは別にしてとにかく、脊髄反射的にクイズに答える。

それまでは、日本人的な慎みとか恥とかいう概念によって、制御されてきた行動規範が壊されたところからくる屈託の無さがウケたのである。確かに彼らの清々しさは、新鮮だったし、面白かった。



また、今はインターネットの時代、クリエイティブは容易に修正できる時代になっている。

おそらく、クリエイターがじっくりと作品をつくり、世に出して、その作品が長い時間をかけて審判を受ける時代から、世に出してからも、随時修正・変更を求められ、その修正・変更の手際こそがクリエイターの価値となる時代になりつつあると言い換えてもいいだろう。



この時代、一つのことに時間をかけて、自分の作品に人生を賭ける責任感よりも、方向をすぐにでも修正できる柔軟性に、時代の価値が移っているように思える。



そして、そんな価値観の変化が"とりあえず何にでも手を出してみる"という作法を後押ししているのではないだろうか。

勿論、僕もそういった時代の作法を肯定する気分の中にいるのも確かだし、個人的にも積極的にそういった作法を身につけようとしてきたことも事実だ。



しかし、今回のイチローというスーパースターの「やっぱ手を出すのが早い人は駄目ですよ、何やるにもっていうとこだと思いますけどね。」という言葉に、フッと足を止めてみたほうがいいのかなぁとまた揺れる僕であった。



まさむね



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