「リアル・クローズ」と「JIN-仁」が今クールの僕のはまドラ♪♪だ
テレビドラマを見ることの一つの大きな動機に、「実際の生活に役立つから」というのがある。
それは、おそらく、テレビドラマの歴史が始まってからずーっとそうなだと思う。
最近の例を上げれば、例えば、火曜日22:00~の「リアル・クローズ」では、毎回、年増のキャリアウーマンがそれっぽい台詞を吐く。前回の2回目では、美姫(黒木瞳)が主人公の絹恵(香里奈)に向かって言う。
「好きなものをたどっていくと、必ず、過去の自分が幸せだった記憶にたどりつく」と...
そして、今日の3回目の放送では、老舗ストッキングメーカー『ヴィオーラ』の水嶋専務(片平なぎさ)が言う。
「朝一番、最初の一歩を踏み出す足が履くストッキングは、その日一日を決める」と...
記憶で書いているので、正確ではないがだいたいそんな台詞だったように思う。
そして、彼女達がドラマの中で真剣にそう言うと、確かになんとなくそんな気がする。
多くの視聴者にとって、彼女達の言葉は「役に立つ一言」に聞こえるという仕組みである。
さらに、同時に主人公の絹恵(香里奈)が、もがきながら成長していく姿に、自分を重ね合わせてドラマを見ていく。
楽しみながら、いろいろと考えさせられる。
そうしたドラマと視聴者との幸福で健康な古典的関係が生きている(ように見える)ところが「リアル・クローズ」の良さだ。
少なくとも僕にとって、このドラマの自信溢れる古典性は心地よい。
しかし、その反面、このドラマは、リアルタイムに衣装をネットで販売するという「オンエアリンク」システムを初めて導入したドラマとしても注目なのだ。ある意味、時代の最先端を行っているのだ。僕は先日の『「リアルクローズ」で始まった「オンエアリンク」に注目だ』というエントリーで、「27歳位の女性達が立って話をし、時に回転して、ようするに服を見せつけるような長回しシーンが多用されるようなドラマばっかりにならないか微妙に心配である。」という懸念を表明していたのだが、まさしくそんなシーンが見られてしまった。
主人公の絹恵(香里奈)が優作(西島秀俊)の指示で一回転するシーンが出てきたのだ。でもまぁ、しかたないかという感いなのだが...

彼は、タイムスリップという荒唐無稽な状況で幕末の江戸に飛ばされる医師なのだが、真剣に、ここで医療活動をしてしまうと歴史を変えてしまうのではないかと悩む、さらに、いや、歴史の中では自分の力などほとんど無力なのではないかと涙を流しながら反問したりもする。しかも、その悩みのシーンがやけに長く、切実なのだ。
そういったところはいかにも丁寧に作られていてそれはそれで、好感が持てるのだが、あまりにも実生活には役に立たない悩みに、どうせSFなんだし、そこまで凝らなくてもとすら思わせる。
ただ、このドラマの丁寧さは、家紋ファンの僕の心を少しくすぐる。坂本龍馬の家紋が、「組合角に桔梗紋」だったり、勝海舟の家紋が、「丸に剣花菱紋」であるのは当然の事として、架空の人物である、150石の貧乏旗本の橘恭太郎(小出恵介)の家紋が、きっちり丸に橘なのだ。(おそらく、この旗本、苗字の通り橘姓にちがいないっ!)
こういう丁寧さの積み重ねが、荒唐無稽なストーリーにして、しかし、感動を与えるリアリティを保持しえているコツなのではないか、と、そして、スタッフの陰の力なのだ、と、改めて感じさせる。
とりあえず、今クールは、上記2本が僕の「はまドラ」だ。
まさむね
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