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2009年10月18日 (日)

「JIN-仁」における坂本龍馬の目の輝きは必見である

TBSの日曜劇場「JIN-仁」が面白い。



簡単に言えば、このドラマは、現代(20世紀末)の医者がタイムスリップで、幕末の江戸に行ってしまい、人々を救おうとするという歴史SFである。

元々、設定が荒唐無稽なため、少々の矛盾があっても仕方が無いが、それでも詳細部分で、その矛盾をなんとかしようとする努力が感じられ、それ自体、非常に好感が持てるのだ。

例えば、主人公の南方(大沢たかお)の髪型。当然のこと、江戸時代は身分によって髪型が決まっていた。武家の娘、町娘、浪人、旗本、医者、非人...はその髪型で職業、身分がわかったのである。

その中に一人、現代風の髪型の青年が現れる。当然、江戸の人々が彼の髪型を不自然に思い、あれこれ注意する。

そういったことが比較的丁寧に描かれているところにリアリティを感じるのである。



また、現代では、患者を救うことに対して尻込みしていた青年医師が、幕末の江戸に対して、医療技術を伝えるのと引き換えに、逆に医者にとって一番大事な、「医者とはどうあるべきか」を教えられるという構図が、大変わかりやすく表現されている。

それは、江戸の人々の純粋な表情、生きようとする意志、人間らしい朴訥さ、そういったものが上手く描かれているからにちがいない。いいドラマだ。

おそらく、役者達=登場人物の個性が十分生かされているからなのだろう。坂本龍馬(内野聖陽)、橘咲(綾瀬はるか)、咲の母(麻生祐未)、緒方洪庵(武田鉄矢)、勝海舟(小日向文世)、喜市(伊澤柾樹)といった江戸の人々がリアルにいとおしく感じてしまう。

特に、僕たちは、歴史的事件としての坂本龍馬の非業の死を知っているだけあって、彼の笑顔と目の輝きがなんとも切なく、胸を締め付けられるのだ。そして、その龍馬を見る切ない感覚を南方仁(大沢たかお)と僕たち視聴者が共感しているという不思議な構造が、この「JIN-仁」のユニークさだと思う。



脳に包帯を巻いて、病院に担ぎ込まれた謎の男が坂本龍馬なのか?、そして彼を現代にもどして最新医療を受けさせるために、南方は自分を犠牲にするのか?どうなるのか、僕は原作も知らないのでなんとも言えないが、そういった荒唐無稽さをも超えた感動が待っているような気がする、久しぶりに期待感を抱かせるテレビドラマである。



最近、広告の減収によるテレビ業界の構造不況が言われており、自分自身も数多くのエントリーでテレビ業界のことを批判してきたが、しかし、テレビがいまだにコンテンツビジネスのトップランナーであることは事実だし、その凋落によって、ドラマの質が落ちてしまうことはおそらく、誰も望んでいないことであろう。

いいものはいい、悪いものは悪いというのは当たり前の話だが、だからこそ、この「JIN-仁」について敢えてベタで褒めさせてもらう。

初回の視聴率が16.5%だったというが、よしよし!これからさらにうなぎ登りにより多くの人に見てもらいたいと、江戸の人々と同じように純朴な気持ちでそう思う。



まさむね

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