「隣の晩御飯」のような生活を補助金で維持するのは無理
民主党が政権を取って、今までの様々な公共事業の無駄が暴かれ始めている。
その代表的なものが八ツ場ダムや川辺川ダムであるが、こうしてみると、いかに自民党政権が地方の土建屋や既得権益者のための政権だったのかということが改めてわかる。
そして、マスコミはそういった公共事業の実態に関して、ほとんど報道してこなかった。その罪もあまりにも大きい。勿論、それらは法律違反というようなレベルの問題ではないが、僕等の知らない間に、僕等の税金がそれほど必要とも思われないところに多額に使われていたということのだ。そして、いつの間にか、国の借金は800兆円を超え、一人当たり600万円以上にも増えてしまっているのだ。どうしてくれるのか?とはまさにこのことである。
思えば、今回のリーマンショック以降の100年に一度の大不況、小泉政権の失政による地域格差の拡大、そういったフレーズに乗って組まれた15兆円の補正予算、こんなことをしても景気が上向かないことなど、90年代に散々経験したはずではなかったのか。
地域格差というのは、戦後、地方の農家の次男、三男が都会に出てきて、都会の人口が爆発的に増え、産業も発展する過程で徐々に広がってきたものだ。おそらく、そのようにして人口集中が起こらないと日本が世界に伍して経済大国になることもなったに違いない。だから、その意味で、人を都会に集めるという自民党の政策はある時期までは正しかったのだろう。先ごろ、放送されていた「官僚たちの夏」の時代まではだ。
しかし、その後、70年代の日本列島改造計画、80年代のバブル、そしてその崩壊の90年代まで、逆に地方はどんどん過疎化が進んでしまった。すなわち、地域格差の実体はどんどんと進んでいたのだ。
ただ、その格差は、国からの補助金というシステムによって、隠蔽されていただけだったのである。
おそらく、元々、地方と都会の生活を同じにしようとするのに無理があったのではないか。
地方は自然が豊かだが不便、一方、都会は便利でファッショナブルだがコンパクト、そういった環境の違いがあるのに、それらの差をなくそうとしてきたツケが今、補助金カットという現実によって、目に見える形で現れているのではないだろうか。
地方には地方の、都会には都会のそれぞれの価値観をはぐくんでこなかったのが問題なのである。
実は、都会にいても、たまに地方の様子をテレビで見ることが出来る。夕方になるとほとんど人通りが無くなった街を元スターが尋ね歩く「田舎に泊まろう」や、ヨネスケが晩御飯を食べ歩く「隣の晩御飯」などの番組だ。
しかし、そこで見る田舎の生活は都会に比べてあまりにも豊かだと僕はいつも感じていた。勿論、そういった番組写りのいいようなところしか放送しないのかもしれないし、事前に話がつけられているのかもしれないが、田舎の人々の生活は都会に比べてとても豊かである。勿論、それは人と人とのつながりがまだ存在しているという点もあるのだが、(自動車が一家に数台あるなど)同時に物質的にも豊かなように感じられるのである。
例えばある日(2008年9月4日)の「隣の晩御飯」では彼等(漁師さん一家)の夕食は以下のようなものだった。
1.アジのなめろう
2.瓜の漬物
3.エビチリ
4.ハンバーグ
5.巻き寿司
6.主食のカレーライス(何もなかったということで出前した:お母さん談)
都会民にしてみたらなんという贅沢か。
リーマンショック以来の地域格差拡大というのがどういったことなのか、僕は具体的にはよくわからない。しかし、敢えて憎まれ口を叩くのなら、自民党は今まで、このような生活をしている人々に補助金を出してきたのではないかと思わざる得ない。勿論、これは豊かな一例であり、実態としてはこうした地方の表の顔ではない別なところに皺寄せが行っているのだろうが、それが具体的にはわからない。
もしも、地域格差是正というのが、地方の生活、そして価値観を現状のままキープするための補助金漬けの政策であれば、それはもう、止めるべきだ。
それは地方が自分達の力で生きていけるような政策にならないと、長い目で見て意味がない。
しかし、それが道州制なのか、規制緩和なのか、高速道路無料化なのか、勿論、やってみなければわからないのは確かであるが、今までと同じような競争をする必要のない社会が続くという幻想だけは抱くべきでないと僕は思う。
まさむね
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