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2009年10月15日 (木)

民主党は、日本の歴史を根本から変えようとしているのか

羽田空港を国際ハブ空港にするという至極当然の前原国土交通大臣と、その発言に、怒りで夜も眠れなかったという森田健作千葉県知事の二人が、今日会談した。

結局、森田知事は前原大臣の顔を見て話をしたら、怒りはどこかへ行ってしまったということなのだろうか。

おそらく、最初から怒るような話ではなかったのだろう。多くの場合、人の怒りというものは

①「俺は聞いてない」

②「お前には言われたくない」

③「なんで俺だけなんだ」
という3つに集約されるが、今回の森田知事の怒りは、①だったという話だ。

しかし、先の八ツ場ダムの話もそうだったが、今まで根回しの積み上げで決めてきたものが政権交代によって、こうも簡単に引っくり返る、おそらくこれが政権交代の意義なのだろう。

そういう意味では、当然の事が当然のように行われているということなのである。

       ★

それこそ、古代から日本という国は、中央の政治権力が力で地方を押さえ込むような国柄ではなかった。ボトムアップというべきか、人々の意見を聞き、忖度し、誰もが少しづつ我慢しながら、結局はみんながほぼ納得した上で、全体が決まっていくようなシステムでやってきた。

中央の力が弱まると、地方の豪族、郡司、あるいは武士、国人、名主といった、時代によってそれぞれ名称は違うが、ようするに独立的な存在が地域を独自に治めて、上からの要求をはねつけ、あるいは、面従腹背で、適当に言うことを聞きながら独立性を保つ、またお上はお上で、必殺技「お目こぼし」を駆使しながら、よく言えば平和的、悪く言えば、なぁなぁでやってきたそれが日本の国柄だ。

日本は(移民国家アメリカ以外では)、世界で最も名字が多いということの秘密がそんな歴史には隠されているのである。



しかし、明治以降、地方の人材はどんどん中央に収奪され、それまであった地域共同体はどんどんと解体されていった。いわゆる過疎化問題だ。そして、それまでかろうじて、地域をまとめていた顔役(地主、農協、土建屋、村長、郵便局長、学校長等等)も、90年代の失われた10年に続く、今世紀にはいってからの構造改革で力を失ってしまった。もう、中央政府がこれらの顔役に再配分する原資(補助金)が無くなってしまったのである。



さらに、ここに来て、民主党の公約である子供手当て、農家への個別補償等の国家からの直接再配分制度によって、それこそ顔役は、完全にスルーされ、その「顔」をつぶされる寸前まで来ているのだ。



これからは、根回しの佃煮のようなボトムアップ政治から、トップダウンで物事が降りてくる全体の国益優先の政治になることも予想される。無意味で中途半端な空港や港湾やダムや道路がなし崩しに出来てしまうなどということは無くなるに違いない。ていうか、そんなことをやっている余裕がもうなくなったということなのだろう。

しかし、顔役の没落とともに、この長い間かけてなし崩しに出来てきた地域の自然共同体に代替される人と人との結びつきは、一体どういう形になっていくのであろうか。

       ★

僕は民主党のマニフェストの中で、実は、最も大事なのは、実は以下のところだと密かに思っているのだ。

34.市民が公益を担う社会を実現する

【政策目的】

○市民が公益を担う社会を実現する。

○特定非営利活動法人をはじめとする非営利セクター(NPOセクター)の活動を支援する。

【具体策】

○認定NPO法人制度を見直し、寄付税制を拡充するとともに、認定手続きの簡素化・審査期間の短縮などを行う。

○国際協力においてNGOの果たす積極的な役割を評価し、連携を強化する。

【所要額】

100億円程度
回りくどい方法かもしれないが、民主党の政策は、こういった市民社会を創造するために、旧来の共同体の最後の息の根を止めようとしているのだとしか思えない。

これらは保守主義的な人々にとってはある意味、耐えられない苦痛を伴う改革だと思うが、歴史の針を元に戻せない限り、こうやって市民が「意志的」に社会を作っていくしかないと思う。



今まで、自分は子供手当てや農家への個別補償、高速道路無料化について、いろいろと揶揄してきたが、民主党のやろうとしていることに対しては、大きな方向としては支持せざるを得ない。それしか、これからの日本社会が真っ当に進む道がないからだ。



今後、自分もどうやってこういった市民社会に参画していくべきか、50歳を直前にして、少しは真面目に考えていきたい...ってちょっとは思う。



まさむね

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