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2009年11月 9日 (月)

人生訓型ラーメン屋の過剰さと日高屋的「マイナス志向」

ラーメン屋という商売は、何故か人生論とか物語と結びつきやすい。



一風堂の河原成美店主(左画)、天下一品の木村勉社長、山頭火の畠中仁会長、カリスマと言われるような人物が他の外食店に比べて圧倒的に多い。それらのHPを見ても、トップページからキャッチフレーズのようなものが目につく。



「変わらないために変わり続ける」(一風堂)

「お客さんが来てくれる味ってなんやろ 屋台でもそればかり考え続けた」(天下一品)

「さてどちらへ行こう 風が吹く」(山頭火)



勿論、悪い話ではない。

しかし、田中義剛さんの「ホエー豚亭」など、その流れを汲んだ他種の外食店もあるにはあるが、何故、ラーメン屋に多いのだろうかとの疑問は残る。

おそらく、ラーメン屋という裸一貫の商売と自己実現(自分探し)物語は相性がいいのだろう。どん底に落ちたヤンキー達が起死回生で放った乾坤一擲の大勝負、そしてその勝利の物語に日本人は弱いのだ。そして、彼等の「物語」のある種の暑苦しさが、ラーメンの熱さとシンクロしているのかもしれない。



井沢元彦だったと思うが、こういった職人の成功物語がもてはやされる文化は中国や韓国にはあまり無いというようなことを書いていた。それらの国は儒教文化が根付いているせいで、そういった庶民の文化をどちらかといえば蔑み、逆に官僚などのエリートに価値が置かれる社会だという。

逆に、だからこそ、日本は早々と近代化に成功した。

汗をかきながら一歩ずつ成長していくことに価値を置く日本の「物づくり」文化がその成功の秘訣だというのだ。まぁ、最近はそういった「汗」をかく人が段々減ってきたようにも思えるが、こういったラーメン屋的人生訓が生きているうちは、まだまだ日本は大丈夫といいたいところである。



いずれにしても、それらの物語系ラーメン屋は確かに美味しいような気もする。もしかしたら、隠し味に「彼等の汗」も入っているのかもしれない。そして、おそらくこういったラーメン屋のファンは、その「汗」という過剰さをも一緒に飲み干すのだ。そして「元気をもらう」のである。いいことだ。



しかし、そういった「過剰さ」で商売するラーメン屋が流行る一方で、ある意味、「冷静に」ビジネスを広げるタイプのラーメン屋もある。その典型が日高屋だと思う。僕は以前、「基本が大事、ラーメンチェーン店・日高屋のビジネス姿勢」というエントリーでこの日高屋の戦略コンセプトは、「お客さんにとって嫌なものは全て排除しよう」ということではないかと推理したが、それは、上記の「過剰な」ラーメン屋の逆の路線である。

そしてこの日高屋の、「いいものを足す」のはなく「嫌なものを減らす」戦略は、おそらく他のジャンルでも、徐々に勢力を拡大しつつあるような気がする。



IT業界もそうだ。あの「クックパッド」は、ユーザーが見たくないものを極力排除した結果として、あのシンプルな作りに到達したのだし、「Google」の勝利は、他の検索エンジンに比べて、よりユーザーが見たくないものを削除し得た結果ともいえるのだ。そして、Twitterで最も画期的なのは、そのブロック機能ということもよく聞く。

おそらく、今後はさらに、人が多くアクセスするから、このバナーをクリックしてくれる人も多いだろうというような地引網的な発想で創られたサイトはダメになっていくに違いない。



より多くの機能を加えるかではなく、より多くの不要な機能を削除するかが勝負になるということである。

本来の意味とは違うが、「プラス志向」ではなく、「マイナス志向」がこれからのキーワードになるような気もする。



関係ないが、そういえば、今日のエントリーは括弧(「」)が多かったな。



まさむね

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