多磨霊園にセカイカメラ。墓に眠る故人たちは何を思うか?
先日、多磨霊園に行った。新たな家紋収集と、さらに新たな「チャレンジ」のためだ。
勿論、TBC(東京墓石倶楽部)のメンバーと一緒である。
多磨霊園は奥が深いというか、とうてい1日で回りきれる場所ではない。自身何度も足を運んでいるがそれでも、まだまだ新しい墓の発見がある。今回は、南俊二(昭和の億万長者)、宮川竹馬(四国の電力王)、秦勉造(北大医学部功労者)、酒井勝軍(日ユ同祖論を唱えたオカルティスト)、徳大寺実則(明治天皇侍従長)、大下宇陀児(探偵小説家)、穴水熊雄(京王電鉄社長)、阿部泰蔵(明治生命設立者)、小倉常吉(日本の石油王)、湯浅治郎(社会運動家)、島耕二(映画監督)、木戸幸一(内大臣)等、比較的地味ではあるが、日本の近代の発展に大きく貢献した面々の墓参り、家紋撮影をさせていただいた。
おそらく、故人達は、それぞれの人生を、それこそ、一生懸命に生き抜いたことであろう。墓とそこに刻まれた家紋は、生前のご活躍を偲ばせる記念碑のようなものだ。どの墓も個性的で奥ゆかしい。一日歩き通しだと、さすがに足は棒のようになってしまうが、それでも墓巡りはやめられない。
僕の、そしておそらくTBCのメンバーにとっても一ヶ月に一度の、別世界へワープする貴重な時間だからである。
さて、今回の多磨霊園散策には実は、もう一つ別の目的があった。9月に一般リリースされ、IT業界ではSecondLife、Twitter、Tumblerに続く話題のセカイカメラを多磨霊園に持ち込んでみたのである。
ご存知かと思うがセカイカメラとは一種のAR(拡張現実実現ソフト)だ。Wikiにはこう書かれている。
セカイカメラを起動すると、iPhone内蔵のデジタルカメラによって目の前の景色が画面上に映し出された上に、その場所・対象物(建物・看板など)に関連する「エアタグ」と呼ばれる付加情報(文字・画像・音声)が重ねて表示される。エアタグはユーザーが自由に付加することができ、ユーザー間で共有される。

今回設定したのは以下の人々の墓である。
岡本太郎、三島由紀夫、ライシャワー、長谷川町子、吉川英治、北原白秋、大平正芳、大山康晴...ベテランの墓マイラーの方々にはおなじみの墓所であるが、多磨霊園の右も左もわからない初心者には嬉しい機能の(はず)だ。
しかし、今回の試みで逆にセカイカメラの現時点での限界点が見えてきたのも事実だ。まず、エアタグの認識範囲が300メートルと限定されていること。渋谷や新宿などの大都会ではおそらくその認識範囲で十分過ぎるのであろうが、多磨霊園のような広大な場所だと、それでカバーできるのは1区画か2区画が限度だ。エアタグを設定し終わり、霊園の正門のところで、振り返ってセカイカメラを起動してみたら、出入り口の近くにある外人墓所のライシャワーのエアタグがかろうじて認識できるだけだった。
また、予想されたことではあるが、セカイカメラはバッテリーを食う。予定では、もっと多くのエアタグを立てるつもりでいたのだが、結局は十数名でバッテリーがほとんど無くなってしまった。このあたりは、セカイカメラというよりもiPhoneの問題なのかもしれないが、今後の課題かもしれない。
いずれにしても、iPhoneをお持ちの方は是非、多磨霊園へ出向いて、セカイカメラを起動させてみて欲しい。そこには新しいセカイカメラの可能性がある(と思う)。
もしかしたら、まるで地縛霊のようにも見えるエアタグはそれはそれで、そこに眠る偉人達の「霊魂」のメタファのようにも感じられるかも知れない。
まさむね
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