11月は思い切ってビートルズドラッグソングベスト10
ちょっと前の話ではあるが、酒井法子が逮捕され、彼女のCDがショップから回収されたちょうど同じタイミングでビートルズのリマスターCDが入荷されるというニュースがあった。
それなりにビートルズ好きを自認する僕らとしては、微妙に複雑な心境だ。
酒井法子が覚せい剤で逮捕されるのはしかたがないとしても、一方、ビートルズの面々だって、ドラッグ関係には多々関わりがあったことは周知の事実だからである。
例えば、ジョンは大麻不法所持でアメリカへの入国を拒絶され、裁判沙汰になっているし、もっと有名な話では、ポールは日本公演の際に所持していたマリファナが原因で、成田の留置所に拘束されているのである。
そういえば、当時「せっかくやってきたのに、何もしないで帰ること」を「ウイングる」と言ったっけ。ちなみに、「もう帰ったかと思ったら、まだ居ること」を、「マイケる」と言ったこともあったなぁ。まぁ、わかる人はわかる話だが...
それはともかく、ビートルズあるいはロックと、ドラッグというのは切っても切り離せないというのが僕らの世代の感覚だ。酒井法子事件とビートルズの二つを並べてみた時に感じる複雑な心境とはそこから来ている話なのである。そこで、毎月末、恒例の僕のビートルズベスト10は、ドラッグ関連(と思われる、あるいは、と勘違いされた)楽曲ベスト10にしたいと思う。
1.A DAY IN THE LIFE
2.HAPPINESS IS A WARM GUN
3.LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS
4.WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS
5.COME TOGETHER
6.GOOD DAY SUNSHINE
7.DOCTOR ROBERT
8.GOT TO GET YOU INTO MY LIFE
9.GIRL
10.ノルウェイの森
1位の「A DAY IN THE LIFE」は"I'd love to turn you on"(君を目覚めさせてあげたい)という部分がドラッグの勧めとして解釈され、BBSで放送禁止になったのは有名な話だ。
勿論、真実はわからないが、ポールが歌う中間部の、「バスに乗り込みすぐさま 煙草の吸える二階のほうへ そこでやっと落ち着きいつしか また僕は夢の世界へ」というところもドラッグで"アチラ"に行っちゃった感があるし、一番の歌詞の、車の中で意識を飛ばした上院議員の話も同様の感じである。
2位の「HAPPINESS IS A WARM GUN」は偶然だが、2ヶ月連続の2位へのランクイン。
前回はワルツ部門だった。
この曲で歌われている「GUN」というのはトリプルミーニングである。
一つ目は、勿論、銃。二つ目は、おちんちん。
そして三つ目がヘロインの針というのが僕の解釈だ。
この「fix」というのはヘロインを調合するという意味だ。
I need a fix 'cause I'm going down
Down to the bits that I left uptown
I need a fix 'cause I'm going down
刺激が欲しい 落ち込みそうなんだ
俺はアップタウンに棄ててきた例のやつを求める
刺激が欲しい 落ち込みそうなんだ
「I'M SO TIRED」の以下の部分も、「朝起きて、自分自身の飲み物を作る」というのは表向きの意味だと思われる。
I wonder should I get up and fix myself a drink
起きあがって飲み物でもつくろうか
勿論、「SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」の「FIX A HOLE」もそういった文脈でドラッグソングと言われたのである。
3位の「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」が「L.S.D」の略だとい言われたのはあまりにも有名な話。ただ、メンバーは誰一人その見解を肯定していない。偶然の線も強く残っている。しかし、歌詞の内容は、幻覚の世界そのもの。タイトルの、"DIAMONDS"が複数形になっているところに僕は注目したい。この歌詞では、その他に、"marmalade skies"、"cellophane flowers"、"marshmallow pies"、"newspaper taxis"、"plasticine porters"と、登場するモノの多くが複数形になっている。このことはこの幻想的な世界をより不気味にしているのだ。大体、ママレードの空(複数形)ってどんな空だろう。
そして、今気づいたのだが、"marshmallow pies"というのもなんだかドラッグ臭い。
4位の「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」は「SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」に収録されたリンゴのテーマソングのような曲だ。ただ、ここで言う「FRIENDS」がただの友達ではなく、マリファナと解釈された。
I get high with a little help from my friends
ほんの少し友達が助けてくれれば心も軽くなる
ここで言う"get high"=「軽くなる」 という表現も誤解(?)に一役買っていると思われる。
5位は「COME TOGETHER」注目の箇所は以下だ。
He got monkey finger He shoot Coca Cola
猿みたいな指 コークを注射する
直訳すると「サルのような指を持ち、コカコーラを注射する」だが、"monkey"というのはヘロインの、"Coca Cola"は勿論、コカインの隠語なのである。
また、"monkey"といえば、もう一曲、「Everybody’s got something to hide except me and my monkey」というのも解釈仕様によっては、「ドラッグは嘘をつかない」というようにも取れるのではないだろうか。ちなみに、ここでの"monkey"は、ヨーコ、お金、ただの猿とのクアドラプルミーニングとも解釈されている。
6位の「GOOD DAY SUNSHINE」は現在でもNASAのモーニングコールの楽曲らしいが、それとは裏腹に、「GOOD DAY SUNSHINE」という言葉自体が元々はマリファナの隠語である。
I need to laugh and when the sun is out
I've got something I can laugh about
声をあげて笑いたい・・・・太陽が照ってると
ひとりでに笑えてきちゃうんだ
ここでいう「ひとりでに笑えてきちゃう」というのはマリファナによってもたらされるハイな気分を歌っているのだ。
7位の「DOCTOR ROBERT」で歌われているのは、そこに行けばなんでも調合してくれる怪しげな医者の話。
実際に、LSDをビタミン剤にまぜて患者に注射していたというニューヨークの医者(チャールズ・ロバーツ)を歌ったといわれている。
この頃(66年当時)のビートルズを取り巻く環境、そして文化・社会の怪しさがよくわかる曲だ。
8位の「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」における"YOU"というのはマリファナのことだと、ポールから聞かされたジョンがこの歌詞を絶賛したという逸話が残されている。
9位の「GIRL」は、歌の途中で入る「ズッー」と息を吸う音が、マリファナの煙を吸う音だと解釈された。個人的に大好きな渋めのバラードだ。
そして、10位は、前回のワルツベスト10では1位だった「ノルウェイの森」、今回は慎み深く、10位とさせていただいた。というのも、この曲がドラッグソングという根拠が比較的薄いからだ。ポイントは最後のこの箇所。
And when I awoke I was alone This bird has flown
So I lit a fire Isn't it good, Norwegian wood
翌朝 目が覚めると僕ひとり かわいい小鳥は飛んでいってしまった
僕は暖炉に火を入れた ノルウェーの森にいるようだぜ
ここでいう"lit a fire"をどう解釈するか。
①暖炉に火をともした。
②家を燃やした。
③マリファナに火をつけた。
比較的穏便なラブソングと解釈するならば①だが、ポールは、こう述懐している。「彼女は自分から男を招き入れておいて、『お風呂場で寝てちょうだい』と言うんだよ。僕らの考えでは、男は何かしらの復讐をするべきだった。『暖を取るために火をつけた。なんて素敵な部屋だったんだろう』という解釈も成り立つかもしれないけど、実はあれは復讐として燃やしてしまったんだ」そうすると②も有力だ。ドラッグソングとしての解釈の③はそういう意味で弱い。だから今回は10位なのである。
さて、最後に、前回のビートルズベスト10のワルツ特集で、10位に入れた「GOOD NIGHT」だが、「BEATLESを歌おう♪ Yeah Yeah Yeah!」主宰者のヤンマさんにご指摘をいただき、再度聴いてみたら、おっしゃるとおり3拍子ではなかった。4拍子だったのだ。僕の中では確かに3拍子かと思っていたのに、勘違いの根というのは意外に深いものだ。ここで改めて、訂正させていただく。
そして、ワルツ特集の第10位は「DIG A PONY」にいたします。
まさむね
※本ページでの訳詞は内田久美子「ビートルズ全詩集」を参考にさせていただきました。
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