本当の「歌の力」は、w-inds.の新曲「New World」にある
本当に音楽が好きな人は、ずっとギターを抱えたまま話をする。
そして、弾き語りながら、周りにも幸せを与えてくれるのだ。
ヴィジョンファクトリーの動画携帯サイト、VISION CASTにおける(RYUTUBE SEASON4 #42=※携帯のみ視聴可能)は、w-inds.の緒方龍一のそんな自然な断片が見られるファンにとっては宝物のようなコーナーである。
人が音楽を好きになる動機には様々なものがあると思うが、この緒方龍一が、父親の緒方命二氏の多大な影響でビートルズの大ファンになり、そこから音楽の道へ入っていたということは想像に難くない。
既にご存知の方も多いとは思うが、命二氏は、札幌キャバーン倶楽部オーナーであり、そこのメインバンドのリードギタリスト、知る人ぞ知るビートルマニアなのである。龍一の無垢な冒険心、純粋で真っ直ぐな心は、この命二氏直伝の作法に違いないと僕は密かに想像するのであった。
さて、上記の(RYUTUBE SEASON4 #42=※携帯のみ視聴可能)で龍一が弾き語っている曲はビートルズの初期の「BEATLES FOR SALE」という比較的地味なアルバムのオープニング曲の「No Reply」という曲である。
勿論、ジョン=レノンの曲だが、彼の作品にはめずらしく、リアルな物語風の失恋ソングだ。
大雑把に意訳すると、電話をしたけど、「娘はおらん」って言って取り次いでもらえなかった、だけど物陰から見てたら、君が別の男の子と手をつないで家に入っていくのを見たよ。死にたいよ~♪...という結構情けない内容なのである。
「Yesterday」や「Michelle」、あるいは「Nowhere Man」や「In My Life」といったメジャーな歌ではなく、「No Reply」というところが龍一の選曲センスの渋さを表しているではないか。やっぱり彼も一流のビートルマニアだ。
さて、12月9日の発売日を前にして、w-inds.の新曲「New World」のPVがM-TVで放送され、早速、YOUTUBEなどで見られるようになった。
近未来的なサウンドに合ったニューヨーク・クラブ風の明るい映像だ。
僕のお勧めは、途中、龍一、慶太、涼平、慶太と続く掛け合いシーンである。
しかし、曲のノリの良さとは裏腹に、歌詞は微妙に重い。
最高の瞬間逃さずにもう振り返らない未来だけ見つめればいい
どんなに長い道のりでも気にしてらんない
We don't care don't care don't care don't care back on
Don't worry, I'll take you to any world right now
いばらの道もWe don't care don't care don't care don't care back on
心折れそうな時があっても君にこの想い捧げるから
We can love together
どんなにやるせない夜も乗り越えられる
We don't care don't care don't care don't care back on
彼らが置かれている不当な境遇が頭をよぎらざるを得ないが、逆に考えれば、そんな彼らだからこそ、真のリアリティを表現出来るのではないだろうか。
恵まれすぎた環境は、長い目で見れば決してアーティストにとっていいものとは限らない。
それぞれの宿命を精一杯生きるところにこそ、明日がやってくるのだ。
「New World」は、そんな誰しもが通らねばならない現実の不条理との闘いを彼らなりに昇華した今年最後をかざるベストチューンである。
本当の「歌の力」は、大晦日の空虚なお祭りにではなく、この歌にこそあると僕は思う。
まさむね
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