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2010年8月12日 (木)

日本は価格差だけではなく質でも中国にかなわない!?

先日、会社の仕事でシマンテック社に、ノートンユーティリティの件で電話をした。インストール台数や有効期限、自動更新、アンインストールなどの質問だ。

電話をすると、まず、新製品へのバージョンアップのナレーションが流れた。こちらがそんな用事で電話したわけでもないのに、無償とはいえ、そんな告知はちょっと迷惑だ。しかも、そのナレーションでURLまで言い出すのだ。このURLをメモする、あるいはその場でPCに入力する人はいないだろう。そのためにわざわざ問い合わせに電話しているのではないのだから。

このあたり、いかがなものかと思った次第だ。次にナビダイヤルを経由して女性のオペレーターが出た。こちらの質問を聞いて、ぶっきらぼうに別の電話番号を教えられた。ちょっとがっかり。また電話しなおして、一から説明しなければならないからだ。



しかたがない。その教えられた電話番号に電話した。通常の呼び出し音とは違う。明らかにどこかに転送している。「アレッ」と思ったが次に出てきたのは、明らかに外国人(多分、中国人)の説明員だった。たしか、王さんとか言ったっけ。王さんという名前は中国では最も多い名前の一つだ。

僕は驚いた。その王さんが大変、丁寧な口調で日本語を話すのだ。もちろん、ネイティブではないことはすぐにわかる。しかし、ちょっとでも答えがモタモタするだけでも、常に、「大変、お待たせして申し訳ありません」と言うのだ。

しかも、一つの質問が終わると、「他に何かご質問はございませんでしょうか。」と繰り返す。

自分もかつて、サポート電話の対応をしたことがあるが、正直なところ、いかに先方に早く納得してもらい話を済ませる(電話を切る)のかがテーマだった。

しかし、この王さんは違った。

彼女に「他のご質問は?」と言われると、次々と別の疑問が出てくるから不思議だ。そして、電話を切ってみると僕はかなりすっきりした気分になった。

最後の王さんは、「これからそちらに、本日の私の対応がいかがだったかのアンケートを送りますのでお答えください。」と言っていた。おそらく、このアンケートの集計が査定などに関係してくるのであろう。

シマンテック社も長年のサポート業務の蓄積がこういったシステム(ノウハウ)を作り上げたにちがいない。



現在、日本の産業の多くが中国に移転している。同じことをさせるのであれば、コストの安い海外で対応させたほうがいいに決まっている。しかし、多くの日本人は、顧客対応というフェーズではまだまだ、中国人は日本人のきめ細かさ、誠実さ、優しさ、思いやりという点で劣っているに違いないと思っていると思う。実は僕もそうだった。

しかし、当たり前の話だが、「誠実さ」のインセンティブが働くようなシステムにしていれば、中国人だって、すぐに日本人に追いつく。いや、ハングリー精神がある分、日本人よりも優れた対応をするようになる。



シマンテック社のサポートを受けて、日本の産業の劣化は決して価格だけの話ではない。ある意味、自信を持っているはずだったサービス業のクォリティに関してもそうなりつつあるのではないかとちょっと不安な気持ちになった。



まさむね

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