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2010年11月 4日 (木)

TV番組「ブラタモリ」と「世界ふれあい街歩き」にみられる何気ない散歩の風景はいい

最近のTV番組はほんとうに面白くないのであまり見ていないのだが、そのなかでも好きな番組が二つある。「ブラタモリ」と「世界ふれあい街歩き」だ。NHKの番組。といっても毎回欠かさずかならず観ているというわけではないのだが。いずれも番組の基本は街のなかをとくに目的もなく散歩するというようなコンセプト。もともと僕自身がいわゆる名所旧跡の類にはあまり興味がなく、外国に行ってもほとんど観光地めぐりらしい観光を行わない(たとえばパリに行ってもマレ地区をうろついたりするのがとても好きだ)ので、そういう性格の人間にはとても波長が合う番組なのだ。なんといってもどこか行き当たりばったりの散歩者目線であるところがいい。



「ブラタモリ」はご存知タモリが東京という町の今昔をどこかワープしながら散歩するというような内容。たとえばこの間あった新宿の探索では、新宿という町が江戸時代からいかに水道(玉川上水)とのかかわりをもって発展してきたかという観点でその足跡をたどりながら散歩してゆく流れになっていた。たとえば四谷の交差点のコーナーの曲がり具合が実は上水の曲がり具合をそのまま反映したものであるという事実や、上水からの分水(枝水)が今は柵の脇の草の生えたただの無意味な土地のように伸びていることなどが明らかにされてゆく。



一つ一つのことは別にたいしたことではないかもしれないのだが、そういうたいしたことはない積み重ねのなかで交錯して発展してきた新宿の今がわかってとても面白い。

その最終形として今の西新宿という土地そのものが浄水場の跡に立った高層ビル街であり、ちゃんと現代の水道局本体もいまだに鎮座していることなども当然ながら確認されてゆく。

それから「世界ふれあい街歩き」のほうはカメラマンの体に装着された水平移動カメラが世界のある都市の路地をまるで縫ったり這ったりするように移動してゆきながら、その間に現地の人とまるで対話しているような日本語のナレーションが入りつつ進んでゆくというコンセプト。これを早朝(朝の出勤時刻)から夕方まで街中を歩き続けるシーンが続いて、そこで偶然に出会った人やモノ、風景を映し出すという流れになっている。



こちらも特に名所旧跡だけを映し出すのとは違い、他愛がないといえばそういえるのだが、それがいいのだ。結局そこに映し出されるのは何気ない日常を生き続けている現地のひとたちの当たり前の暮らしだ。僕らの日常も実はそういう他愛もないような連鎖によって成り立っているのだから。



そこには大言壮語もおそらく経済の危機もない。かりにその影響はあってもそんなものとは別に連綿と淡々と昔から続いてきた日常の風景。たとえばヨーロッパのある小さな都市。街中のバールみたいなところで早朝からゆっくり酒を飲んでいるお爺さんの姿。そして夕方。同じ店の前を通ったカメラが映し出したのはまたそのお爺さんの姿だった、みたいな。のどかで、でも根太いひとの暮らし。とても変化の激しい時代だけど、一方で太い糸のように繰り返されてきた人の当たり前の暮らしというものもあり、その両方への目配りは忘れたくないものだ、と思う。余談だけど、僕の通勤もまず一軒の惣菜屋さんの前を通りすぎてそこのいい匂いを嗅ぐことから始まっている。雨が降ろうと天気が良かろうと。



よしむね

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