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2010年12月26日 (日)

今年は、多くの日本人にとって、日本とは何かについて考え始める年となったと思う

今年は、多くの日本人にとって、日本とは何かということを改めて考えさせられた一年だったように思う。

勿論、一番の事件は9月に起きた尖閣事件である。

あの事件によって、今まで自明のように思っていた日本という国が実は危ういバランスの上に成り立っていたものだったということが白日の元にさらされた。

政府やマスメディアは、あの事件を隠そうとしたが、そうはいかなかった。

日本人は確実に、目覚めの第一歩を記した。2010年は、おそらくそうした年として長く記憶されることであろう。

その意味で、逆説的ではあるが、民主党が政権を取っていたというのはよかったのかもしれない。

みんなが期待(勿論、僕も)した新しい政権が、統治能力に欠けていて、何も出来ないことが明白になったということは、政治家への期待というもの自体は破壊したが、逆に一人一人で日本を何とかしなければならないという気にさせたようにも思えるのだ。



それでは、僕らが守ろうとする、あるいは僕らが抱くべき「日本」というものの実体は何なのであろうか。

かつて三島由紀夫は、このように述べた。

私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。『文化防衛論』


今から40年も前の話である。三島由紀夫が亡くなった時、僕は小学校5年生だった。先生が授業でそのことにふれた。三島由紀夫の思想に共鳴して自殺した人がいる(多分、森田必勝のこと?)ということを話してくれたと思う。その時、僕は可笑しくて一人で笑い出してしまった。

記憶の世界だから確かではないかもしれないが、クラスの中で僕だけが大声を出して笑っていた。おそらくそうだった。

笑った理由は、「三島由紀夫の自死という勘違い」に連動して死ぬことが、あまりにも愚かに感じたからだったと思う、多分。



実は、僕が小学校5年生の授業中の出来事で覚えているのは、この瞬間だけだ。それだけ、あの笑いは僕の中にずっと残り続けていたのだ。



しかし、今思い返してみると、三島由紀夫のなんと正しかったことか。そのことは、上記の文章を今、読み返してみると明白だ。

僕は40年を経過して、やっとそのことに気づいたように思える。そして、今、あの時の笑いを僕は恥じている。笑われるべきだったむしろ、僕だったのだと。

多分、僕の「記憶」は、そんな自分を反省する日が来ることを知っていたのかもしれないとすら思うのであった。



さて、先ほどの疑問に戻ろう。僕らが守るべき「日本」とは一体なんなのであろうか。

そして、僕らは何をすることが日本のためになるのだろうか。

それを僕はこれから少しづつ考えていきたい。



幸か不幸か、僕は自分のテーマとして、家紋というものを見つけることができた。家紋は日本オリジナルな文化である。確かに、西洋にもエンブレムというものがあるが、一般庶民にまでシンボルマークが普及している国は、おそらく日本だけである。

僕はこの家紋というものに日本の独自性があると考えている。つまり、家紋というものを考えることが日本を考えることにつながると信じているのだ。



家紋には、日本人の独立心や美意識や、集団意識や、ブランド志向や、怨霊志向や、言霊主義や、海外への憧れ、和の精神、中央と地方との関係、クールジャパンの源...など、いろんな日本人的な性格がつまっているのだ。今、思えば、僕が今年の前半に書いた『家紋主義宣言』という本は、家紋を通して、日本人というものを考えようとした本であった。

来年は、さらにこの考え方を進めてみたいと考えている。



まさむね

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