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2011年2月 5日 (土)

大相撲はそのしたたかさや胡散臭さも含めての日本的見世物である

大相撲が大変なことになっている。言うまでもなく、警視庁が押収した力士の携帯電話の記録に八百長をほのめかすような証拠が出てきたという問題である。2日の産経新聞を引用してみよう。

大相撲の野球賭博事件で、警視庁が押収した複数の現役十両力士の携帯電話に、勝ち星を売買するなど八百長行為に関与していたとみられるメールの記録が残されていたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。八百長が行われたとみられる取組は賭博の対象にはなっておらず、刑事事件としての立件は見送られる見通し。警視庁は同日、警察庁を通じ、日本相撲協会を所管する文部科学省にメール内容について情報提供した。


それにしても、警視庁は、別件で押収した携帯の中身をマスコミに公開したのであろうか。これは、明らかに公務員法違反である。

いわゆる大相撲内部の談合が問題であるのなら、同じような談合体質が、警視庁と新聞記者の間にもあるということではないのか。

そういえば昨年、NHK記者が警察のガサ入れの日程を時津風部屋に教えたということが問題になったが、それ以上に、NHKの記者にその情報を漏らした警察関係者の方が大いに問題ではないのか。

しかし、僕はそんな談合体質をここで、ことさら批判しようとも思わない。それが日本の社会というものだからである。

例えば、パチンコ。誰が見てもこれは賭博という犯罪行為であるが、それは「そうではない」ということになっている。ただ、それを、今更指摘することは野暮というものだ。



そして、同様なことはこの大相撲の八百長問題にもいえることである。それを指摘すること自体が野暮なことなのである。

ようするに、世の中には、暗黙の胡散臭さというものがある。おそらく、相撲ファンの10人の心の中を覗けば、10人とも「八百長」の存在を知っていたと書いてあるだろう。

そんなことはある意味、常識の範疇の話なのである。

今回の発覚事件を聞いて、「初めて知りました」という相撲ファンがいたとしたら、それは建前として、ウソをついているということにすぎない。



内館牧子の『女はなぜ土俵にあがれないのか』にも書いてあるが、大相撲という組織は、時の権力者、あるいは世間に対して、極度に弱い立場にある。公益法人の衣を脱げば、ただの興行団体である。その意味で、次の三月場所を中止するという判断もやむを得ない。そして、何人かの力士を除名にし、場所を中止にして、反省したという姿を世間に見せた上で、五月場所から何事も無かったかのように、再び元に戻るに違い。



僕はそんなしたたかな大相撲が好きだし、そのしたたかさや胡散臭さも含めての日本的見世物だと思っている。



まさむね

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