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2011年3月30日 (水)

金八先生ファイナルに見たオツな「場面飛ばし」の演出



日曜日の夜に放映した「金八先生ファイナル」、「江」を差し押さえてチャンネルを合わせる。


平均視聴率19%以上もあったというのだから、僕みたいな人も多かったのではないか。


実は、僕のウチには録画するマシンが無いのであった。


時間が限られているせいもあって、足早な演出が、逆に新鮮にうつる。



不良少年が、金八先生や周りの人々の支えによって、更正していくという極めてベタで分りやすい展開。いわゆる王道。


今更、感じたのは、王道というのは、見ていて安心だということ。


さて、先ほどの述べた「足早で新鮮な演出」とは例えばこういうシーンだ。


不良少年をクラスに戻すために、金八はじめとした教師達が、父兄に説明会を開く。


父兄一同、大反対。金八、下を向いてなすすべが無い。


その時、その会合の一番後ろにいた元教え子が「金八先生を信用してください」と涙の訴え。勿論、音楽。


さぁ、その涙に、あの父兄たちはどう反論するのかと身を乗り出したところ...



シーンが替わり、金八が、その元生徒二人に感謝している。



さらに、こんなシーンもあった。


鑑別所から出て、母親と一緒に職員室を訪れる不良少年。金八はその少年を更正させるために、自宅に住まわすことを提案。


暴言を吐く少年。


さぁ、金八はどうやって少年を説得するのだろうかと身を乗り出したところ...



次のシーンでは、既に金八の家の中に少年がいるのだ。



敢えて言えば、ベタな展開だからこそ生きてくる演出ということか。

僕はこの劇的な場面(めんどくさい場面)を回避して話を進ませる演出に、90年代の宮沢章夫の遊園地再生事業団の数々のブラックアウト、あるいは80年代の名作コメディ和田誠の「怪盗ルビイ」の真田広之と小泉今日子の掛け合いを、あるいは、70年代の長谷川和彦の「青春の殺人者」の息子が父親を殺すシーン等の歴代の「飛ばし」演出を思い出してしまった。







(たまたまYOUTUBEに上がっていた「青春の殺人者」における息子が父を殺すシーンが飛ばされた名シーン(3分あたり)が上がっていたので、暇な方は観てください。)



さらに、面白いと思ったのは、最後、金八の教え子達に対して、金八が一人一人、名前を呼び、立ち上がるシーン。最後に呼ばれた、参議院議員の三原順子が、何もセリフを言わず、ただ震えて涙をこらえていたシーン。こんなそれなりの「大物」になにもセリフを与えない演出、この大胆さもオツだ。やはり一斉を風靡した作品は、違う。



さらにさらに余談だが、最後の金八の演説で、「日本人」という言葉が出てきた。基本、個性重視のサヨク的なドラマかと思っていたが、時代の流れには抗えなかったということか。



さらにさらにさらに言えば、あの大量の元生徒達、おそらく金八出演時には、それぞれが未来の俳優を目指していたはずなのに、いわゆる「残った」人はほんの一握り、芸能界の厳しさをも炙り出してしまったファイナルであった。

まさむね

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