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2012年4月22日 (日)

「コードギアス 反逆のルルーシュ」 見終わった後のこのやるせない感覚は一体、何だ。

「コードギアス 反逆のルルーシュ」第1期25話を駆け抜けるように観た。

まさに、これは怒涛の作品である。

いつもだったら、それなりに気になった回を見直したり、確認したりもするのだが、この興奮が、冷めやらないうちに、とりあえず、現在の書き留めておきたいのでエントリーにすることにする。

ということで、細かい点で誤解(勘違い)などあるやもしれないことご了解下さい。(って、いつも、結構、誤解しまくったりもしているのだけど... )



さて、このアニメが、まずもって衝撃的なのは、僕らが住んでいるこの日本が植民地にされてしまっているというその設定である。しかも、日本人はイレブンという名前になっており、日本人とすら名乗ることも出来ない。名誉や尊厳はすべてブリタニア人(白人?)に奪われているという。

この屈辱的設定の思いっきりの良さを僕らはどのように受け止めたらいいのだろうか。

さすがに、皇室の存在は誰も一言も触れていないので、元々存在していなかったということになっているに違いないが、あの富士山がグロテスクにも変型されている。



しかも、ここに登場する元日本人(イレブン)がどいつもこいつも、どうしようもない人間ばかりで、しかもそのどうしようもなさが、冷静になって見ると意外にリアリティもあったりするもんだから、そこだけを見ると何ともやるせないアニメである。

例えば、日の丸の鉢巻をした「愛国者」達は、残念ながら、愚直なばかりで、偏狭で頭の古い人々としてしか描かれていないし、一般大衆は、卑屈で、依存心が強く、現実を変革しようとしないばかりか、その多くがリフレインという麻薬で過去の最も楽しかった記憶にすがるだけの「動物」になっている。

そして、物語の中で一応の人格を与えられている「黒の騎士団」のメンバーである扇要や玉城真一郎にしても、一方は優柔不断でお人よしだし、一方は能力が低い割りに権力欲旺盛といったような、主人公格の人物に比べれば取るに足りない人物として描かれている。また、愛国者の残党として、唯一マシな藤堂という人物も、ゼロが不在だと、ただの精神主義者と堕して、「防衛線を死守しろ!」と怒鳴るだけの指揮官になってしまう。



ただ、唯一、主人公格の枢木スザクという高校生だけは、カッコもよく能力も優れており、名誉ブリタニア人として扱われているが、日本人にとっての救いは、本当にこの少年だけなのである。



僕が疑問に感じたのは、このアニメは放映時(5年前)に、それなりに人気があったと聞くが、こうした日本人の描かれ方に対しては、不快感を感じる視聴者はどの程度いたのか、あるいはいなかったのかということである。

そして、先ほども少し描いたが、このダメダメな日本人達が、残念ながら、「もし日本が他国に占領されたら」という脳内シュミレーションをしてみたときに、(自分自身の身の処し方も含めて)実は結構、正しく描写されているのではないかという気がしてしまうということが、僕らをして何とも落胆させるのである。

その意味で、気を取り直してみるならば、このアニメは現代日本に対する、痛いほどの警告が含まれているのではないかという評価も出来るような気がした。



一方、主人公のルルーシュの超人的な知能、カッコよさは、群を抜いている。



しかも彼は、偶然に、C.Cと呼ばれる魔女と契約して、相手に対して、絶対に服従を強いるようなギアスと呼ばれる特殊能力を授かるのである。そして、「黒の騎士団」という地下組織のカリスマ的指導者となり、日本をブリタニアの抑圧から解放しようと闘う。



しかし、彼は元々、日本人でなければ、それゆえに、日本の歴史と文化を愛する愛国者でも無い。

実は、彼の本当の願望は、ただ現状を破壊することであることが、徐々に明白になるのである。それゆえに、彼にとっては、日本人が、あるいはブリタニア人が、何人犬死しようと知ったこっちゃない。彼にとっては、日本という国の独立よりも、妹や友人の安否の方が百倍も大事だということが、最終回でわかるのである。



しかしそれでもルルーショが魅力的なのは、彼が実現する彼の願望、つまり、現状を暴力的に破壊するということが、おそらく視聴者の潜在的願望とどこかでリンクするからに違いない。

僕は、いくつもの抵抗感を感じながらも最終的に、ルルーシュの悪魔的な活躍に惹かれてしまう自分が不思議でならない。



それにしても、この観終わった後のモヤモヤ感は一体何なのであろうか。



まさむね



この作品以外のアニメ評論は、コチラからご覧下さい。

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